イノベーションへの環境整備(2)会議はやめて「寄り合い」にしよう

タクラミストたちが集まると、集まったきっかけとなったテーマは「とりあえず」脇にのけといて、ゆるゆるとバンドの音合わせみたいに話が始まります。

1ヶ月前に行ったビジネスデザイン合宿。きっかけは「たくらみ屋のビジネスモデルをデザイン思考のツールでデザインしてみない?」だったのですが、集まってから最初は誰もビジネスデザインの話をしません。

最近米ちゃん(米澤晋也)何やってるの? から話が始まり、あーそんなオモロイことやってたん? ドクターフジコ(藤戸佐千世)、それうまいこと表現するね〜。おー、フィクサー(岩田千栄美)のそんなぶっ飛んだ角度からのアプローチあるんや! そんな様子をマネージャーかずみん(勝矢和美)がいちいち感動して見守ってる。

 

こんなのが何時間か続いた後にたくらみ屋のやってることの根っこの価値観が見えてきます。3つくらいのプロジェクトが、一つの価値観に基づいて話し合われているのがわかってきます。「あ、これは価値観とか世界観の摺り合わせをやってるね。」ってみんな気づいたのでした。

ノウハウのHOWは置いといて、「そもそも何故やるか?」のWhy? の摺り合わせ。

具体的はビジネスデザインは、翌日チェックアウト前の2時間になりましたが、今後の提供サービスの核となる視覚化ができてきました。

たとえばこんなのできました。面白そうでしょ?

こんなのが生まれる場は、日本古来の「寄り合い」の形です。

寄り合いはいつも楽しく前向きでワイワイガヤガヤ。みんなよく笑っているのです。

思い返すと、会社員時代は「会議」でした。いつも憂鬱で後ろ向き、足の引っ張り合い。早く終わりたいと思っている人も多い。

天と地ほども違う、「寄り合い」と「会議」の違いは何なのでしょうか?

 

会議は結論の戦いの場

会議はなぜ苦痛だったのか?を考えてみました。もちろんいろんな要素がありますが、どうやら各自が持っている落とし所「結論」に持っていこうとするバトルからじゃないか?というのが大きな要因であるようです。

「今日の会議は大一番だ!」

まさに戦いの言葉ですね。相手を押し切って自分の結論が通ると大勝利! というわけです。

こういう大一番も時には必要だとは思います。しかし考えてみて下さい。

 

この場から「思っても見なかった創造的な成果」は起こるでしょうか?

 

戦っている人達は自分達の結論が最高だと思っているので、最高でも「思ってる通りのこと」です。

戦いの場は新しいものを生み出す土壌ではありません。人と人との掛け算・化学反応である「文殊の知恵」は極めて起こりにくい土壌になります。

創造性が欲しい、新しいものを生み出す発想が欲しい、たくらみたい! と思うのであれば、もういちど問い直す必要がありそうです。

「そもそも会議って何?(what)」「そもそも会議って何のためにやってるの?(why)」

 

寄り合いは「生データ」「事実」を持ち寄る場

「寄り合い」は違います。決して結論から始めていません。

寄り合いは「持ち寄り」から始まります。何を持ち寄るのか?

それは「生データ」「ありのままの事実」です。

少し前になりますが、前回のブログ記事はイノベーションへの環境整備(1)として「生データの神通力」について書いてみました。

前記事にも紹介しているように、生データを持ち寄ると思ってもみない発想が出ます。それは誰も評価していないありのままの事実だからです。

そもそも誰も評価していないから、誰か偉い人の評価を気にするなどということが大幅に減ります。つまり、発想が湧き出る土壌が作りやすくなるのです。

だから思ってもみない発想、イノベーションが起こりやすいのです。

 

寄り合いは「白紙」で出席する

寄り合いを作るには一つのポイントがあります。

それは「結論を持たずに白紙で出席する。」

冒頭のタクラミストの会議の様子を見ても、「前回の話がこう決まったから、この続きからやろう」という方法ではありません。その都度「生データ」「事実」を共有するのです。

なんでそんな面倒なことを? 前の会議を無駄にするようなことを何故やるの? と言われるかも知れません。

しかし実は。。。これはブラジルで6000人レベルで指示ゼロ経営をやっている、セムコ社と同じ方法なのです。

参考記事:
リカルド・セムラー来日セッションレポート:「奇跡の経営」に向けて、今私ができること

 

今日の環境は昨日の環境と違います。

昨日の環境では正解だった結論も、今日は前提が全く変わっているかも知れません。それを無視して「今日は間違っている」前の結論の上に続きを建設することは「建設的」ではありません。

常に何故やるか?を一緒に見据えながら、今日の生データを共有して最適な知恵を出していくのです。

日常生活では、たぶんみんなやっているはずです。この時の合宿もそうです。

今日は夕日が綺麗な環境だから、みんな外に出てBBQをしよう。今日は雨が降っているから、部屋でじっくりワインを飲み比べよう。

だって、みんなで楽しく過ごすっていう共通の目的があるから。

 

会議をやめてみたら、寄り合いが出来上がった。

ある会社での出来事です。

会社全体で業務が詰まっているボトルネックはどこか?とみんなでワイガヤすると、どうやら会議や提出資料が多すぎて、営業さんがお客様に見積もり提案するのに時間がかかりすぎるという結論を社員さんたちが出しました。

それを図式化した「事実」を社員さんに見せられた社長は、思い切って会議や朝礼を全て廃止しました。

結果。。。営業の業務はスムーズになった上に、営業さんが勝手に必要な情報を共有する「寄り合い」を作り始めました。

社長は言いました。「全て無くしたが、何も無くさなかった。」

結果、それ以上の創造性と発想力が手に入ったのです。

「寄り合い」。ゆるみのあるいい言葉ですね。創造性と発想力がほしいと思ったら、今日から寄り合いを1つづつ作ってみませんか?

 

多くの「寄り合い」が体験できる、たくらみ屋主催共催セミナーは →こちら

 

投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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