人手不足解消を大きく前進させる、たった1つの「やめること」

この記事のポイント:

1.人をあらかじめ割り振るとうまくいかない
2.役職や部署は本当に必要か?

 

定期テスト廃止の中学校!

先日、カンブリア宮殿で公立中学なのに劇的な学校改革をしている「麹町中学校」の取り組みを見ました。

まず通常の学校では当たり前の、宿題廃止! 定期テスト廃止! おー、公立学校でこれをやるのはすごいですね!

実はこれらは、TOC(制約条件の理論)的に考えると、とてもうまく説明がつきます。

例えば、定期テスト廃止は「大きな山は小さく崩す」の原則そのもの。定期テストを廃止する代わりに、単元ごとに小テストを実施しているのです。

短期にまとめて一気に勉強すると、どうしても時間が不足し睡眠不足にもなるし、終わるとパッと忘れる。

まとめ仕事は、必ずどこかに存在するボトルネックにどんどん引っかかりやすくなるのです。

だったら、単元が終わることに小さくテストを繰り返して行く方が勉強もすぐ終わり、日常のリズムにブレが少なくて生徒も先生も楽。

そしてこの麹町中学校の取り組みで素晴らしいのは、再テストを自由にして同じ内容の再テストの点数を成績に採用していること。本来の学力を身につけるには、当然この方がいいですよね。

最近は麹町中学校スタイルと取り入れる学校も増えてきたということですが、「定期テストは今までやっていたから」「学校の制度だから」とこんなことはやらない学校がほとんどだと思うのです。

何故できないか? それは先生たちが働く環境がこれまでと変わっていないから。

麹町中学校では先生の環境も、実は簡単な方法で変えています。これが麹町中学校が企業にも参考にされている理由であり、現代の人手不足を解消していく大きなヒントがあるのです。

 

学級担任制を廃止する本質は?!

麹町中学校では、何と「学級担任制」も廃止しているのです!

通常は担任・副担任という先生がいてクラスを担当しているのですが、この学校は8人で3年生4クラスを担当しているのです。

この方法は、まず生徒たちが先生と話しやすくなります。あの科目の勉強のことならA先生、スポーツの相談ならB先生、恋愛相談ならC先生! とかですね。

そして先生の働き方も変わってきます、

先生が全体で助け合うので、忙しすぎる時や病欠の時などの代役が探しやすくなります。

そして先生にも得意技があると思います。美術が得意とか、スポーツが得意とか、進路相談が得意とか。それらをとっても必要とする生徒もクラスにはいるけど、全てに生徒に必要な得意技でないかも知れません。

1クラスだけでは一部の生徒にしか役に立たない先生の得意技も、学年全体に広げれば手応え十分となり、先生自身も得意なことを伸ばしやすくなります。

そうするとますます先生がプロフェッショナル集団となっていき、集団のレベルが上がってくるという好循環も生まれてくるわけですね。

そしてこれは、企業の人材活用にも応用できる考え方です。

 

あらかじめ人を割り振るとうまく行かない?!

担任制をやめると上手くいく。。。ということはですよ?!

「担任として、人を予めクラスに割り振るとうまくいかない」ってことではないでしょうか?

ずっと担任が固定されていると、先生の対応力や時間、そして得意技がボトルネックになってしまうことがほとんどです。

だからこれまでの先生は全て勉強して立派な先生になろうと日々努力してきたのですが、残念ながら学ぶことが劇的に増えて価値が多様化した今、どんどん無理な仕事になっていって現場の先生は疲弊してきています。

それを解決するのが、「予め割り振らない」っていうことなのです。

企業でも同じことが起こっていないでしょうか?

関西で15店舗を持つお店の会社がありました。いつも人が足りない、人を入れてくれという要望が来るそうです。

そこで、こんな質問をしてみました。

「その15店舗の総人数は何人ですか? サービス予約数は何件ですか?」

集計ができたところで、もう1つ質問しました。

「もしこの15店舗がでっかい1店舗に統合されて、この人数と予約がそこに集中していたら、人は足りないですか?」

すると答えは。。。

「余裕すぎる。」「仕事がスカスカ!」

2割くらいの稼働で運営できてしまう計算になってしまうのです。

こう考えると、人が足りなくなっている原因は、実は「人を予め固定して割り振っている」ことに他ならないのではないでしょうか?

多くの会社は製造や販売、管理などという部署に人を割り振ります。するとあるところでは人が足りないけども、ある所では余っているという不満も出たりします。

しかし、これからは「私は製造の人」「私は営業の人」と固定してしまわない、枠を取り払った柔軟な集団づくりがますます必要になってきます。

実際こんな動きをしている岩手県一関市の「京屋染物店」さんは、染めのリーダーと営業のリーダー、縫製のリーダーがどんどん協力して価値を創造し、仕事をスムーズに流しています。また、染めの人が縫製に行ったりっていう配置転換も頻繁に行われていました。

(→ 京屋染物店さんの現場見学会は11月9日に実施されます!

 

「長」って、本当に必要か?

ある会社では「店長」という役職を廃止しました。

「店長」と言うと、その店だけのことを考えてしまいがち。店の成績も問われるし、長年勤めてくるとその場所が自分の存在意義になって自分だけで仕事を抱えてしまい、次世代の教育が遅れてしまうという弊害も出てきます。

しかし、店長を廃止して数店舗を自由に行き来する「エリアマネージャー」的存在になると、視野が広がって来ます。

当然自分一人の力では全部管理できないので、社員さんの力を借りようとします。教え合いの機会が増えて実は教育がどんどんできるようになります。

ある店で人が足りない時は柔軟に協力してヘルプに入ります。そして多くの場所で多くの経験ができ、多くの人と話す機会も増えますのでますますコミュニケーションと教育が進んできます。

その店長自身にも「次の活躍の場」ができることになります。次がないと自分の立場を守ってしまいますから弊害が大きい。次があるとどんどん流していけるようになります。

(写真は文章の会社とは関係ありません(^-^) でもちゃんと学んでいる店っていいですね。)

 

これは「多能工」という考え方とは少し違うと感じています。

多能工は、あの仕事も任さればできる。これもできるようにするっていうオペレーション中心の考え方です。

しかし自律的集団での柔軟な人の活用は、それらを遂行する力が必ずしも求められているわけではなくて、全体最適的な視点を持って「そもそもこれやらないといけないの?」「これとこれを組み合わせれば第3のやり方ができる!」というイノベーション的発想を育むことを考えているのです。

もちろん基礎スキルは必要ですが、スキルを高めていくだけの仕事の比率はどんどん減少していくということなのです。

 

まとめると、こうなります。

・人を割り振って固定すると、ずっと人に不自由する状態が続く
・必要な時の直前まで待ってタイムリーに仕事場を決めると、多くの人の能力が発揮され人が足りてくる

もしあなたが人手不足に悩んでいるなら、是非「人を割り振る」のをやめる工夫を考えてみて下さい。

たくさんの笑顔が増えますように!

 

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投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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