名入れ風船の受注が20倍になった事例

集中のしどころを決めると、オーダー品の注文が一気に月間20倍に急増!?

とくいっち(得居裕江)のお店・バルーンポップさんでは、かつてイベント主催企業さんの名前をグッズに印刷する「名入れ風船」の見積依頼に悩んでいました。

・たまにお問い合わせがあっても、お客様の希望する納期になかなか間に合わない。
・また注文個数が最小ロットに達しないのでお断りすることが多い。
・お客様とのデータやりとり、見積もりも非常にややこしく手間がかかる。

このような「売り逃し」「機会損失」は宝の山!

どこが伸びるか?を一緒になって考え、全神経を集中させました。そしてこのような順番で質問(仮説)を用意しました。

1.お問い合せ自体、もっと件数をいただけるのではないか?
(実際はもっとあるはずだ)
2.納期が間に合わない、それは本当か?
(実際作っている時間は数時間のはず)
3.最小ロット、それは根拠のあるものか?
(単に先方が目安で言っているだけの場合が多い)
4.接客のやりとりは、もっと簡単にできるのではないか?
(複雑にしているのは自分以外にはいない)

4つのポイントがクリアできれば、市場を創造して新たな事業の柱を立てることができます。チャレンジ!

 

◯アクション1:ショップのページを少しだけ調整

潜在需要はどのくらいあるか?

受注にならないので遠慮していたのか? 当初はページの下の方に商品のお問い合わせ窓口がありました。そこで全ページの左上、最初に目に入る一等地に「名入れ商品」の看板を置いてみました。

たったこれだけのことでまずお問い合わせ件数が倍以上に増加。潜在需要は多いという確信を得ました。また、受注を逃さない納期とロット数も見えてきました。

 

◯アクション2:メーカーとの納期・ロットをWin-Winで交渉!

世の中のオーダー品の販売の納期はどんどん短縮されており、翌日発送の名入れ品なんていうのも結構あります。今回の商材は2週間納期。他店で短納期でやっているところはあるだろう。。。と覚悟していました。

確かに10日とか1週間と書いてあるところはある。しかし先入観は禁物。実際に調査したお店に社長さんが問い合わせてみると、やっぱり全て2週間の返事。。。2週間以下の納期でやっているところは実際には存在しない!

日本にあるメーカー数自体が少ない商品なので、メーカーさんの製造工程に業界の納期が左右されることがわかりました。ここでは連携体制が市場創造の鍵を握りそうです。

そこで現状取引のあるメーカーさんを各社吟味して、短納期、小ロットを実現してくれそうなメーカーさんにとくいっちが直接訪問してアタック。飛行機での遠方の移動でした。

この時に大切なのは、遠方だからこそ直接現場に訪問して交渉して本気を伝えること。そして「お互い良くなる、断るにはあまりにもったいない話ですよ」と持ちかけること。TOC(制約条件の理論)の用語では「マフィアオファー」と言います。

「この名入れ商品は、2週間の納期と500個のロットでは売り逃がすが、1週間の納期で100個のロットなら多くの注文が取れることがわかりました。今からここに注力し、広告も打ちたいと思っています。他のメーカーさんは2週間でしかできないと言っています。貴社が1週間でやってもらえるなら、全て貴社に発注します。やってもらえますか?」

業務の流れを双方で確認して「できる」と判断したメーカーさんは、快くOKしてくれました。これでどこの店も書けなかった「名入れ商品、100個から1週間でお任せ下さい!」がページに書けることになります。

 

◯アクション3:商品数を絞って業務をシンプル化

名入れ印刷商品は「版の入稿」と「見積」がポイントとなりますが、ここが悩みだらけ。

・お客様から送られてくる版で、そのまま使えないものがとても多い。
データが小さすぎ、画像形式が違う、色が多すぎる、印刷できない図案である。。。
・オーダー品でメーカーさんが都度見積を出すため、急いでいるのにすぐに価格の返答ができない。。。

もちろんそれぞれに工夫対処はします。OK版とNG版を比較する説明を掲載したり、制作サービスを有料でつけたり、見積の目安を掲載したり。。。

しかしそれだけではやはり業務は非常に煩雑。当初はどのオーダーがどのくらい進行しているのかわかりにくく、大混乱していました。

そこで「根本問題は何か」を考えます。するとそもそも、オーダー商品の種類が多すぎるから煩雑になるのではないか? というところに行き着きます。

どの商品に集中するか?何を捨てるか? これは「できていること」から考えます。すると、実際に最もスムーズにオーダーが決まっていて、お客様にも品質の不満のなく受注出来ている商品3種類に絞ることができました。

発注状況の見える化も進み、スタッフさんもかなりスムーズに業務が進むようになってきました。

 

◯集中とシンプル化の結果

春から3ヶ月間準備した効果が一気に出ました。

夏はこの商品の閑散期にも関わらず、これまで月に1〜2件しか取れなかった商品が22件の受注。この商品だけで売上は7桁を軽く突破。受注数、金額ともこれまでの月の11倍!

繁忙期の10月には40件程度の受注となり、およそ20倍の実績となっていました。

2019年の夏から更なる進化、超特急便の登場!

納期を3営業日に短縮、受付ロットも半分の50個に小さくしています。

→ 超特急便名入れ風船

業界でナンバーワンだった納期をさらに短縮。今までのオペレーションを吟味して、実際にはもっと業務と業務の間の待ち時間を削減できることがわかりました。

実際に大急ぎのお客様に対して3営業日で納品したことも多々あったので、これをメニュー化することに決めたのです。

 

市場を創造するには

1.お客様に何が価値を生むかを見極めること
2.そこに経営資源を集中すること
3.できていることを伸ばし、できていないことは捨てること

これを絵に描いたような事例になりました。

名入れ風船は今やバルーンポップさんの柱となっています。TOC的な視点での継続的改善は、業界で間違いなくナンバーワンと言われる商品を産んだ後も、更に進化し続けることができるのです。

(2014年8月5日の事例記事をアップデート掲載)

 

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投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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