食品ロス減は、節約ではなく価値創造である

食品ロス削減法案、成立へ 超党派議連が提出 フードバンク支援義務づけ」という記事が出ました。

私の妻もフードバンクに毎週ボランティアに行っているため、とても関心を持って記事を読みました。

フードバンクの消費の現場で余っている食品を活用する仕組みはとてもいいと思いますし、今後も円滑に機能してほしいと思います。

しかしそもそもフードバンクで扱う食品自体が減るという工夫もできるはず。

消費の前には、生産 → 加工 → 販売 という流れがあり、その間を取り持つ物流があります。その段階できることもたくさんあるでしょう。

そのヒントになる製造現場をちょっと覗いてみましょう。

 

獺祭は、小さなタンクで造られている

2年半前に、有名な日本酒「獺祭」を造る旭酒造さんを見学させてもらいました。

35歳の時に酒蔵さんに連れて行ってもらって日本酒好きになった私はいくつかの蔵を見学させてもらったことがありました。ほとんどの蔵では、背の2倍くらいある大きなタンクがいくつか並べられていて、「へー、すごいですね!」と圧倒されていました。

しかし、獺祭を造る現場は違っていました。「うちには小さなタンクがたくさんあるんです。」

現場を見て驚きました。腰より低いタンクがたくさんある。。。

ほとんどの食品メーカーでは「一度に多く作るほうが効率的、原価も安くなる!」ってことで、できるだけまとめて仕事をしようとします。

しかしここは真逆でした。できだけ分けて小さく仕事をしていくのです。

なぜ、こんなことをしているのでしょうか?

 

1.小さく分けて作るから、スピードが早い。

そもそもロスが発生するのはたくさん作るから、というシンプルな事実があります。

何故たくさん作ってしまうのでしょうか?

1つは「何回も作ると手間がかかる」「まとめてやったほうが効率的」という「思い込み」があるからです。

しかし、多くの現場で小さく分けた方が結局はスピードが劇的に早くなるという事実があります。

キャベツ切り・人参切りの事例:完了を増やすには「1つづつ、1つづつ」

うまく行っている会社はこれを知っていてやっています。ではスピードが早くなるとどんないいことが起こるでしょうか?

 

2.小さく分けて作るから、いつでも新鮮。

小さいタンクで順番に造ると。。。今日は出来上がったこのタンクを出荷! 明日はこのタンクが出来上がる! という形で順次新鮮なお酒が届くことになります。

鮮度や作りたてが人気となる食品のお店、例えばパン屋さんなどではよくこれが行われています。

朝に一日分全部どかっと焼いて店に置いておくパン屋さんよりも、「焼き上がりました〜!」って頻繁に聞こえるパン屋さんの方が買いたくなりますよね?

パン屋さんの事例:あるからと言って、使わなくてもいい。

実は小さく作ることは、お客様の感じる価値を上げることになるのです。

すると価格競争に巻き込まれることもなく、どんどん商品が回転する。さらに鮮度が上がる。こんな好循環もイメージできますね。

 

3.小さく分けて作るから、変化に強い。

ドカンとまとめて作って「あれ、お客さんのニーズや好みが変わっちゃったよ。。。」という時にもロスが出ますよね。

小さく分けると、そのようなリスクを最小限に抑えることができます。

あ! 今はお客さんがもうこれを求めなくなった。次に作り変えていこう! こういう変化が柔軟にできるのも、小さく分けて作っているからこそできることです。

 

4.小さく分けて作るから、流通も小売店も扱いたい商品になる

どーんと作った商品がどーんと配送に流れたら、物流事業者さん大変ですよね。

どーんと作った商品がどーんと入荷したら、小売店も大変。検品大変だし、倉庫はパンパンになるし、何よりそんな量を買うお金がない!

売れなかったら返品することもあるかも知れません。その手間も大変。

しかし新鮮なお酒が少しづつ入荷したらどうでしょうか?

倉庫は少なくて済むし、仕入れ金額も少なくて済むし、何よりもお客さんが美味しいと言う!

これは、小売店にとっても扱いたい商品になりますね。

 

結論:小さく分けて作ると大いなる価値が生み出され、結果としてロスがなくなっていく。

メーカーも小売店も溜める量が少なくなる。当然ロスが少なくなる。

当たり前のことですが、10の需要に対して100作るよりも10だけ作るほうがロスがない。こんな簡単なことが何故出来ないか?の理由は様々あると思いますが、少なくとも企業さんの目線としては

「ロス減で多少の経費と原価が削減できる以上のことがイメージできない」

ということが大きな理由としてあると感じています。

しかしどうでしょう。獺祭さんの事例のように、ここまでお客様にもパートナーにもいいことが起こって儲けられるイメージが作れれば?

もっと積極的な動機を持って、取り組む企業さんができてくると思います。いいことがたくさん起こることは、企業さんも続けられます。

 

日常からの「小さく崩す」提案

個人的に思うのです。

企業や行政単位で大きく取り組むのもいい。しかし組織を作っているのは人。日常の個人の心持ちが変われば、組織が変わる土壌が出来てくると思うのです。

そうならば、日常から一人ひとりが「大きな山は小さく崩す」を試してみてはどうか?

例えば、よく残ってしまう食材があるな〜と思ったら、安いからといってまとめ買いせず、少し高くても小さく何回か買う。

捨てることを考えると結局小さく高く買った方が安く買えていたってことはないでしょうか?

例えば、飲食店でよくある光景は「店に着いたら、一気にメニューを頼む。」

どかっと注文すると厨房も大変ですし、注文が忘れ去られる可能性もあります。だから、「大きな山は小さく崩す」がいいことを起こすと思っている人は、まず食べる分の注文を通す。待っている間に次のを考えて、持ってこられた時に次の注文を通す。

すると何となくお店のサービスも良くなったように感じられてくる?! 流れがいいからですね。

何か思い当たることがあったら、是非とも「小さく崩す」ことを試してみてください。

試すのタダだから!

 

小さく崩すが怖くなくなる TOCセミナー一覧はこちら
↓ たくらみ屋 米澤晋也が初の出版 増刷決定感謝!
↓ 指示ゼロ経営 リーダーが「何もしない」とうまくいく。
↓ こちらから買えます。

投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

お問い合わせ

お問い合わせの総合ページへのリンクです。
【メール】【LINE】【イベントの申し込み】などができます。
お気軽にどうぞ。