労働分配率ではなく「給料の何倍稼ごう!」
「労働分配率」を給料や賞与の目安に使っている会社は多いと思います。
しかしみんなが文殊の知恵を出し合うこれからの自律的集団、創造的集団では、「給料の何倍稼ごう!」がわかりやすく納得できる伝え方と言えます。
そもそも「労働分配率」という言葉は「労働者が頑張って儲けたお金を経営者が集めて、経営者の思惑と評価で分けて与える」というニュアンスがありますね。カーテンの裏で社長と税理士が鉛筆ナメナメで決めているイメージ(^-^;;;
そして「儲かったら分配する」っていうのは、相棒の米澤晋也は世界4大信用できない言葉の1つと言っています。
確かに実際には、儲かっても「次の事業の準備をしないといけないから」「借金を返さないといけないから」「先行きが不安だから」というような理由で分配されない。
経営者に本当のところは?と聞いて回ると。。。
「儲かっていない時は、儲かったら分配する!と社員を鼓舞するが、儲かったら(上記のような理由で)実際払ってない。。。」
と本音で話してくれる方が多いです。
「労働分配」は実際にはなかなか行われないのですね。
しかし、現代は価値観多様化、情報過多。社長のような誰か一人の偉い人が全部を決めて行くのが不可能になってきていて、現場(一次情報)に一番近い人たちの知恵を集結して創造力を発揮し、初めてお客様への価値が生み出せる時代。
そんな時に「カーテンの向こうの社長の顔をうかがう」ような仕組みだと、社長の評価のように動く人たちになってしまい、創造力が発揮されるわけもありません。
そこでこれからは経営者目線(上から目線?!)の「労働分配率」の逆の考え方が効果を発揮するのです。
社員目線の「給料の何倍」(「儲け ÷ 賃金」)
賃金付加価値生産性って言葉があります。これは簡単に言うと
「儲け ÷ 賃金」(MGやってる人には MQ/F1)
のことです。儲けとは一般には売上総利益と言われるもの。
対して労働分配率は
「賃金 ÷ 儲け」(MGやってる人には F1/MQ)
のことです。
何だ? ただ逆にしただけ?って思うかも知れませんが、これは大きな考え方の違いがあるのです。
賃金付加価値生産性 「儲け ÷ 賃金」 は 社員目線、自律的集団目線
労働分配率 「賃金 ÷ 儲け」 は 社長の上から目線😃
ってことになります。
何故か? 例えば簡単に、賃金の総額が100万円で、儲け(売上総利益)の総額が200万円の会社があったとしましょう。
「社長の上から目線」ではこう考えます。労働分配率は
100万 ÷ 200万 = 50%
となりますから、「よし、儲けた分の50%を社員に分配しよう」って考え方になります。
さらに言うと。。。「200万以上儲かったら、社員に分配しようか。いや、不安だから取っておきたいな。。。借金も返さないといけないし。」という考え方になりがちですね。
そして儲けが減った時には、給料も大幅にカットしよう!っていう考え方になりかねない。これでは社員さんはとっても怖いです。
しかし「自律的集団目線」ではこう考えます。賃金付加価値生産性は
200万 ÷ 100万 = 2.0倍
ですから、全社員さんと「うちの会社は給料の2倍を稼いでいる会社!」ということが共有できます。
するとみんなで目指す目標を「給料の2倍稼ごう!」と分かりやすく言うことができます。
そのためには必須条件が出てきます。
少なくとも全員の給料の総額と、会社の儲けの総額はみんなが知っていないといけない。情報の公開が必須となってくるのです。
そうなると、じゃあ今どれだけ稼げたか?というのがみんなが興味を持つようになります。
みんなの関心事になると、達成度が格段にあがります!
そして達成して目標を超えたら、「うちは給料の2倍儲ける会社ですよね! だから賃金もこれだけ上がりますよね!」ということがみんなで合意できるのです。
ここで重要なのは、明確な基準があるので、会社側にも次に投資できる利益を分配することができます。社員さんもそれが納得しやすいというのが大きいです。
また、赤字の場合も会社の状況が見えているので、その時の給料やボーナスの総額をどうするか?を社員さんみんなと考えることができます。
一人ひとりの給料まで知る必要は必ずしもありません。
昨日、米澤晋也と京屋染物店の蜂谷悠介社長がその点について発表していましたが、共通に言っていたことは「あくまでみんなの意思決定に必要な情報を公開する」ということだったと思います。
その結果として、個別給料を知るか知らないかは会社によって違う。
「まあ、額は明示してないけどだいたい分かるよね。」
「給与制度がみんな同額になっているから、他の人の給料に興味ない。」
情報は有りすぎると混乱する。必要でない情報は投入しすぎない。これもTOC(制約条件の理論)的で面白いですね😊
「会社のあり方指標」ラッカープラン
これをさらに深く科学的に学ぶには「ラッカープラン」という理論があります。これは、儲け(MQ)の増大による分配が、社員にも企業にも公正に行われる成果配分の理論です。
アレン・ラッカーという人がアメリカの製造業を数年間研究して導き出した結論は
・企業の最終利益(G)と、賃金(F1)の間には何の関連性もなかった。
・企業の売上高(PQ)と、賃金(F1)の間には何の関連性もなかった。
・しかし、企業の売上総利益(MQ)と、賃金(F1)の間には見事な相関性があった
ということです。
本当に?その理論に基づいて私の会社(株式会社こきょうの方)を分析すると、グラフで見事な相関関係が!
横軸が儲け(MQ)、縦軸が賃金(F1)。
F1 = 0.31978507×MQ + 11163.022
という方程式が出てきたのです。
そして賃金付加価値生産性 「儲け ÷ 賃金」 は 1.65。うちは簡単に言うと、給料の1.65倍を稼ぐ会社だったのです。
これは私は「会社のあり方指標」だと思いました。
長年の変化に対応しながらもこれで長く続いているということは、ここから大きく外れると、利益を会社が取りすぎている、あるいは社員が取りすぎている。会社の構造が崩れてしまう。
しかし、その指標の近辺から離れすぎない限りは、多少事業構造が変わっても、その会社らしく事業をしながら社員さんも満足して働いていると言うことになります。
こんなことが、もう80年くらい前に考えられていたのですね。
昨日、TOCについて深く学ばせていただいている清水信博先生をたくらみベースにお招きして、このをさらに明確に科学的に経営ゲームに組み込んだ「ラッカープランMG」をたくらみベースで開催しました。
清水先生は22年前からラッカープランについて研究に研究を重ね、私たちが実務に取り入れやすいようにして頂いた方です。
世界初開催と言えるラッカープランMGでは絶対に賞状を獲りたかった私もがんばりました😊 参加者の皆さんに恵まれ、最優秀経営者賞をいただくことができました!
まずは簡単にわかりやすく「給料の何倍稼ごう!」から始めると、自律的集団の第一歩になると思います。そこから先は、是非ラッカープランのようなしっかりとした「拠り所」を身につけるといいと思います。
1.社内で意思決定に必要な情報公開
2.社員さんと会社の数字の基礎の共有
3.ラッカープランで利益分配の拠り所を持つ
こんな形で自律的集団の賃金が実現していくと考えています。
ラッカープランの勉強をしたい方は、清水先生の学びの場をご案内しますのでLINE@やFBメッセージなどでご相談ください。もちろん、1.2についてどうすればいいの?というご相談もOKです。
社員さんも会社も納得の分配をみんなで実現していきましょう!
投稿者プロフィール
- 1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。
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相談に答えない事業相談会
たくらみ屋の最も気軽な相談窓口です。こんな方に効きます。
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