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「なる早」ではなく「なる遅」

「なる早でやってよ!」なるべく早く!は世界各国共通語のようです。

英語では As soon as possible。よくASAPと略されますね。

ビジネスシーンではとても普通に使われている「なる早」ですが。。。もし「なる早」と言われることこそが、仕事がどんどん遅れていく原因だとしたら?

そんなことあるわけない!と最初は私も思ったのですが、確かに昔に努めていた会社の「なる早」現場では、間に合っている仕事はほとんどなかったのです。

私が毎日午前様の現場から、定時終了の会社に移った時のお話を思い返してみましょう。

 

「1つ終わらな、次がでけへん」

20代の頃は携帯電話の販売会社に居ました。阪神大震災の前、ネットビジネスの始まる前ですね。

通信業界の日の出のような時期、常に仕事は8時から24時まで。休日は元旦だけでした。

あの頃の1シーンを今でも覚えています。

「森本さん、1番に○○さんからお電話です!」
「森本さん、2番にも○○さんからお電話です!」
「森本さん、今、店舗にお客様がいらっしゃってます!」
「森本さん、営業部から在庫確認入ってます!」
「森本さん、社長がお呼びです!」

5つ同時にいろんなことが来て、私は10秒ほど立ち止まって薄笑いを浮かべていました。

さ〜て、どうするかな? ふふっ。そんな感じですね。

 

まあその時はなんとかやりくりするわけですが、今にして考えると、私が仕事を抱え込みすぎてましたね。いろいろ聞かれることが自分の存在意義みたいに感じてたと思います。

しかしその後。。。10桁だった携帯電話の番号が不足して売るものがなくなり、その会社は急速に業績が悪化。40人居た社員は、給料が払われないとわかると、すぐに30人辞めました。

そこで取引先の社長が乗り込んで来て経営に参加。

その社長は30代半ば、若くて金髪にも関わらず、今までの社内では見たことのないくらい落ち着いた人でした。

今までの社内にない空気感を持っていた社長に聞いてみました。

「社長、何でそんなに落ち着いているんですか?」

「そう見えるか? そうやな〜、若い頃はじゃんじゃん指示出して貧乏ゆすりして常にイライラしてたけど、待つことを覚えたんや。待てるようになった。」

「1つ仕事終わらな、次のこと言うてもでけへんからな。」

あ、これだ。言われてみればそりゃそうだ。

「うちのほうに来るか? うちは5時に仕事終わるで。」

結局その社長のところに転職したのですが、確かに仕事が5時に終わる。会社も何と自宅から歩いて5分だったので、私はいきなり時間持ちになってしまいました。

 

1つづつとは、2つ目の仕事投入を遅らせること

今思うと、その社長の「1つ終わらないと、次を入れてもできない」が金言だったと思います。

これ、言われてみると全くその通りです。イメージもしやすいし、頭では理解できます。

しかし、こんなに当たり前のことなのに、実はすぐには行動に移せない言葉でもあります。

行動にするには、もう一段踏み込んで、具体的な行動を示す言葉が必要です。

それが「なる遅」! なるべく遅く入れる。

「なる早」の言葉に慣れている人たちにはインパクトがありすぎます。何でわざわざ遅くするの? そうすると、何故それを言われたんだろう?と考えるきっかけになります。

その理屈は、ぜひこのキャベツを1つづつ切るイメージを参考にしてください。
過去記事→ 完了を増やすには「1つづつ、1つづつ」

1つ仕事を入れる、次の1つを遅らせて入れる、次ももっと遅らせて入れる。なる遅でやる方が、結局はスムーズで楽で早い。

「みんなが食べているのを見ながら、しかるべくタイミングでそうめんを投入する」っていう、流しそうめんのイメージ。

なる早!で全部同時にそうめんを入れると、食べられないし、多くのそうめんがムダになりますね。

 

人材の配置も、なる遅!

人が足りないって言っているところも、大抵は人を事前に早く配置しすぎています。

あらかじめ「部署」があって、そこに採用された人員が割り振られる。あるいは、何ヶ月か先の「プロジェクト」と「予算」があって、そこにあらかじめ人が割り振られる。

しかし。。。時間が経つと実際の仕事に必要な人数に合わなくて、多くの場所が全然足りないと感じていて、どこかはすごく余っていたりする。

これも「なる早」あらかじめ人員を配置することに問題があるかもしれません?!

ではうまく行っているところは? 実はなる遅で人材を配置しています。

なぜなら、仕事やプロジェクトは直前の方がどのくらい人員が必要かが読みやすいからです。できるだけ直前になるまで人員配置を決めない。

たくらみ屋も「集団」という言葉をよく使います。なぜなら「組織」に固定してしまうと動きが固くなって大変だからです。普段はゆるく「集団」で集まっておいて、特定の目的・ミッションができた時にパッと組織になるのがいい。

そんなこと実際にできるの?と思われるかも知れませんが、固い仕事のイメージのお役所さんも実際に台風の被災対応のときにはそれをやってしまいました。

過去記事:台風被災対応を全体最適で大きく改善した市役所さん

市役所さんができるなら、企業さんもできると思います。

 

ある会社の社長は「うちは30人で業務は回ると思うけど、40人雇っている。」と言いました。それはこんなイメージです。

10人ほど「バッファチーム」つまり余裕チームを社長室付で置いているのです。恐らく、このチームはAの仕事もBの仕事もできる「多能工」「ユーティリティープレーヤー」のような人でしょう。

あらかじめ全部固定(なる早)せずに、その時その時に詰まりが予想される部署に人員を配置し(なる遅)、仕事をスムーズに流す。

これは、ある程度出来上がった組織で全部一気に変えるのが難しい時には有効な方法だと思います。全部「なる遅」にできない時は、できるところからだけでも「なる遅」にすると効果ありということですね。

 

いつもなる早なる早でやってきて、仕事が間に合っていない人は、ぜひこの「なる遅」を考えてみてくださいね!

 

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森本 繁生
Shigeo Morimoto

1966年大阪市生まれ。シナリオタクラミスト。株式会社こきょう 代表取締役。 「教えない」企業研修で何故か参加者の家庭や地域も良くなってしまう。革新の好循環を起こす「プロの素人」。そのためにTOC(制約条件の理論)MG(MQ戦略ゲーム)、20年全国のECショップの現場を飛び回った現場経験、臨床心理学を駆使。 1996年「電脳乞食」が日経グランプリを受賞、最初のたくらみ成功事例となったのをきっかけに、電子商店街「逸品.com」やEコマース勉強会「OSMC」を創設。2009年からMGインストラクター資格、TOC国際認定ジョナ資格などを取得して企業研修に力を入れ始める。 京都大学教育心理学科卒。野鳥観察や坐禅断食を楽しみ、4年半のニュージーランド移住経験を持つ自然好きでもある。特技は忘れ物と日付を間違うこと😃

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