指示ゼロ経営書籍を読む(2) 指示ゼロ経営のルーツを探る
突然ですが、わたくし森本はザ・ローリング・ストーンズのファンです。
ストーンズは、フロントマンのミック・ジャガーと、ギタリストのキース・リチャーズが出会ったところから始まりました。
イギリスの田舎町のダートフォード駅。幼馴染だったミックとキースが学生時代に偶然再会。
そこでミックが持っていたレコードを見て、キースは「おい、本気かよ! 何故その2枚のレコードを持っている?!」
イギリスの片田舎で自分しか知らないと思っていたアメリカのブルースの大御所・マディ・ウォーターズとロックンロールの創始者・チャック・ベリーのレコードを、ミックは持っていたのです。
「この2枚の存在のおかげでバンドが誕生したんだ。」 そうキースは回顧します。
前回の記事は森本が米澤に会いに行って、世界観とルーツが同じということを確認したということを書きました。
ルーツ:発祥(起源、由来、原点); 先祖(祖先); 故郷(出身地) (wikipediaより)
ルート(根っこ)の複数形ですね。TOC研修で私は根本問題を探そう!根っこを探そう!って言っています。
お互い根っこはどこだ?と無意識に見ていたんだと思います。
しかし不思議なもので、お互いのルーツが似通っているとそんなに探さなくてもわかるものです。ちょっとした言葉遣いとかが違うのです。
米澤は私の一言に「キターーー!!」と思ったそうです。
「私は、コンサルタント ”のようなもの” をやっています。」
”のようなもの” 。この一言が根っこが同じということを表していたのです。
米澤が ”のようなもの” に反応したのを見て、私は「通じる」と感じました。言ってる意味が背景までよくわかるのです。
”のようなもの” と何故言ったか。
コンサルタントになってしまうと答えを求められる。相談して答えを出してナンボの世界。
そのうち、お互いに依存が発生します。クライアントは相談しないと不安になって自分で考えなくなってしまいますし、コンサルタントもお金が入るから敢えて切ろうはしない。
この依存関係が進んでいくと「自律的」になりようがないのです。
だから、私たちは期限とゴールが決まった「プロジェクト(=たくらみ)」を受けるようにしています。1年間で社長が居なくても仕事が自律的にできるようにしたいとか。
でも世間的にはそのようなプロジェクトをたくらむ人を言い表す言葉がない。だから「コンサルタント ”のようなもの”」と言ったのです。
”のようなもの” という一言で、以上のことが全部通じる。だからこれは暗黙知が通じる、ルーツが同じヤツと感じたのです。
米澤と話していると、キーとなる人物が2人出てきました。
その2人は 「井深大(いぶかまさる)」 と 「鈴木鎮一(すずきしんいち)」 です。
私はキースと同じように思いました。「おい、本気かよ! 何故その2枚のレコードを持っている?!」
井深大氏はソニーの創業者。「自由闊達で愉快な理想工場」を創りたいと設立趣意書に書いた人です。
まさに「創造的なたくらみ会社」を目指し、実際に創った人。
伝説の厚木工場では、パートの奥さんに至るまで全ての人が従業員ではなく「仕事の主」。日々楽しく自律的に「木下藤吉郎のように働いていた」ということです。
こんな自由闊達な会社では、指示命令をするまでもなく、みんなができることを自分で考え、集団を創って動いていきます。
鈴木鎮一氏は、バイオリンのスズキ・メソードの創始者。スズキ・メソードは世界レベルのバイオリニストを育てる教え方として世界に広まっています。
その教え方は指示ゼロ経営そのもの。
まずお母さんにバイオリンを教え、それを見て子どもが「弾きたい」と言った時に初めてバイオリンを渡す。あくまで自発的な欲求に基づいて教え「弾きなさい」という指示は出さない。
これもまさに、たくらみ屋が目指す「才能を青天井に開放」する人なのです。
私はお2人のことを、元ソニーに居られた西順一郎先生の講義を聞いて知っていました。西順一郎先生はMGを開発した方です。
興味を持ったので、その人達の本も読みました。間違いなく、目指したい方向だと思いました。
井深大氏のたくらみを見るために、ソニーの歴史記念館も訪問しました。
鈴木鎮一氏の日常を知るために、長野県松本の鈴木鎮一記念館も訪問し、館長と1時間ほどお話させていただきました。
そして鈴木鎮一記念館の書棚には、井深大氏の教育の本があり、
TOCの基礎となる物理学の偉人、アインシュタインとも一緒にバイオリンを弾いた写真がありました。
あ〜、私たちの学んできたものは、ここでみんなつながっているんだ。鈴木鎮一記念館ではそう思ったものです。
米澤は、こちらもソニーに居られた天外伺朗さんに師事しています。天外さんはあのワンちゃんロボットAIBOを開発した人。そこからソニーの「自由闊達で愉快」な精神が受け継がれていました。
そして、米澤の息子さんはスズキ・メソードでバイオリンを習っています。
根っこは、確かに同じだった。だから、目指すことも無意識のうちに同じなのです。
そしてストーンズと同じように、アーティスト肌の得居裕江と、いつも落ち着いたリズムを刻む我孫子勝広が加わり、4人のバンド「たくらみ屋」が誕生しました。
「この2人の存在のおかげでバンドが誕生したんだ。」
米澤とはこんなことを話しています。
「俺たち、井深さんと鈴木さんの孫みたいなもんだよね。孫たちがまた出会って、二人が思い描いた世界をまた創ろうっていうのはおもしろいじゃないか。」
「面白いね。そして父と息子ではなく孫だからうまくいくことも多いんじゃないかな。」
おじいちゃんは、孫に優しいからね😊
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投稿者プロフィール
- 1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。
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