最先端は、ボトルネックになりやすい。

「最先端技術はこれだ!」
「これを知っておかないと時代に乗り遅れるよ。」
「ライバルはどんどん先に行っているよ。」

そんな言葉はビジネスシーンではよく言われますね。

しかし、その速度が速くなればなるほど「置いていかれる人」「付いて行けない人」そして敢えて「付いていかない人」は増えるのではないでしょうか?

 

最新のシステムでチームがバラバラに

私は長くネットの仕事をしていたので、とにかく新しいものには飛びつきたい方でした。

最初のiPhoneが発売されると聞けばアメリカまで買いに行こうとしたし、最先端と言われるものはとにかく手をつけておこうと思いました。

ネットビジネスが急成長している2000年〜2010年くらいまではそういう行動が素晴らしく成果を出してくれましたが、それ以降は「おや?!」ということが増えました。

ある会社のご相談に乗っていたとき。受注業務を効率化するシステムを開発して入れよう!ということになりました。

業務内容をしっかり分析して、システム屋さんにも頑張ってもらって、ようやく導入することができました。

しかし起こったことは。。。?

チームワークがバラバラになってしまって、繁忙期の業務が返って進まなくなってしまったのです。

しかも、一人だけずっと午前様で残業!

通常のお客様の注文の他にいろんなお問い合わせがあったり、イレギュラーの注文が多い現状で、新しいシステムで受注業務をこなすのはパソコンにかなり習熟していないと難しかったのです。

今までは紙の受注伝票を回して助け合っていた女性たちも「ごめん、そのシステムでは私達にはできない。ずっと残業しているのに本当に申し訳ないけど手伝えない。悪いけど先に帰るね。。。」ということになってしまったのです。

コミュニケーションが取れない。人間関係もどんどん悪くなる要因になる。

結局、そのシステムは使うのをやめて捨てることになりました。私のとっても痛い経験です。

まさに、最先端のシステムがボトルネック。

これはTOCの書籍「ザ・ゴール」のストーリーでも最新鋭のNSX-10がボトルネックだったと同じことが起こっています。ザ・ゴールでは機械は捨てることなく十分に活用されましたが。。。

 

先端が末端に合わせると、うまくいく。

その後、山梨県のエーワン精密という会社の取材番組で見たシーンを思い出しました。

エーワン精密は40年以上、売上高経常利益率40%前後、社員の9割が持ち家という、桁違いの優良会社です。受注した製品は当日製造発送という超短納期を実現しています。

そこで行われていたのは。。。何と「パソコンを使わない。」

ネットの仕事をしていた私には衝撃でした。パソコンを使わないほうが圧倒的に速い!

受注はFAXで受け、受注伝票をすぐに手書きして工場に「エアシューター」という空気輸送カプセルで伝票自体を飛ばし、工場の人が受け取ったらすぐに製造を開始するのです。

受注から製造の取り掛かりまで2分かかりません!

もしここでパソコンを使っていたら。。。製造をしている工員さんがパソコンを開くまで、受注は通らないことになります。機械動かしている工員さんがパソコンを開くことって1日のうちに何回? 何時間後?

これはパソコンを開く時間のない工員さんが、会社のスピードを握っている末端(ボトルネック)として捉えて、そこに合わせているということです。

会社というチームで仕事をしている以上、全体のスピードが速くなってお客様に届かない以上は誰も良くならない。

成果を決めているのは実は末端。末端にみんなが合わせて尽力すれば会社のスピードは劇的に上がる。

最先端もどんどん進化して行くのはいいのですが、常に先端は末端に合わせて動いてこそ効果が出る。そんなことを痛烈に感じる事例でした。

(山形県鶴岡市”日本国”という住所にある、日本国末端技術研究所にて😊)

 

家族もボトルネックに合わせる。

ボトルネックに合わせるいいんですよ〜って話をしていたら、何と!

「あ、それ、うちはずっと家でやっていました。」

って言った人がいました。

その人は、秋田の鹿子澤睦子さん。

睦子さんの息子さん、鹿子澤拳さんは、耳が聴こえないのです。

正確に言うと感音性難聴4級で補聴器をつければ多少聞こえるのですが、それでも普段の生活では不自由することも多いはず。

睦子さんは、拳さんの「耳が聴こえないということに合わせる」ということをずっとやってきたそうです。

そうして育った拳さんは。。。今や素晴らしいダンサー。耳が聴こえないのにこんなに踊れるの?という動画を是非見てください。

彼は耳が聴こえないけどビートに合わせて踊ります。難聴者が集まった拳さんのダンスチームが健常者のダンスチームとコラボする様子がNHKにも取り上げられていました。

耳が聴こえないという末端に合わせた結果、時代の最先端を行くダンスが生まれたのです。

拳さん取材記事:ダンスに音は必要ない!?鹿子澤拳「Sync-pulse 振動で踊ってみた」

 

今や、鹿子澤さん一家は自らを「チームカノコザワ」と言います。どんな苦難があっても力を合わせて乗り越えていく家族として周囲から応援されています。

先端があれば末端がある。末端をみんながしっかり握れば、先端がどんどんと尖っていく。

進化が早い時代において、仕事においても家庭においても「末端」が鍵を握ることがとっても多くなって来そうですね。

 

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投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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