先生を軽く超えてもらうのが教育
教育っていう言葉がどうも使いにくくなってきました。先生と生徒という言葉もそうです。何となく昔のイメージから「上の人が知っていること、できていることを教え込む」って感覚が出てしまうからです。
でも今は「答えがない」「創造力が必要」といつも言われている時代。
ということは、そう言っている今の大人は「答えを探そうとしてきた」「創造力は身に付ける機会がなかった」という人が多いということになります。
自分でできていない大人たちのやり方を教えられても、それ以下にしかなりません。どんどん次世代が縮こまっていく。
そうならないためには「恐れずに先生を軽く超えて行く場」を創る必要があるのです。
先日会食した泉大津市の38歳若い市長さん、南出賢一氏(写真左から2人目)も、そんな場を創り出していくことに並々ならぬ情熱を傾けておられるお一人です。
「次世代の才能を開放したい。天井を外したい。」と静かに熱く語ります。最近は子ども商店プロジェクトも心から応援いただいており、1月に続き3/21にも体験会を開くことになっています。
南出市長は、学生の超速読の事例を挙げてこう話してくれました。
「指導者はプログラムを自分でできるようにはしません。」
え? 出来ない人が教えられるの? というのが今までの感覚かも知れません。
「例えば毎分10万字を読める先生が教えたとしたら、その生徒は10万字以上は読めるようにはならない。先生が天井を決めてしまう。」
「生徒が自分の能力を発見するポイントで、それを恐れず実行させるようにするのが指導者の役目です。」
おお!これはたくらみ屋の考えと全く同じ! と同席した米澤晋也と興奮していました😊
(南出市長に足の調整してもらう米澤晋也。。。😃)
先日、東京で開催した家族MG(経営シミュレーションゲーム研修)もそんなことが起こりました。
たくらみ屋の子ども商店プロジェクトでも何度も登場している小学5年生の蜂谷蒼大(そうた)君が、2日間に渡る熱戦の結果、並み居る大人の社長さん達を退けて最優秀経営者賞を獲得してしまったのです!
MGでは2日で5年分の経営のシミュレーションをします。その経験年数を「期数」と言うのですが、最終日同卓に居た30代から50代の社長さんたちは、100期とか300期とかの超ベテラン揃い。
その中で、蒼大くんはたったの25期。。。
子どもの才能がいかに早いスピードで開花するか。目の前で見て本当に驚きましたし、嬉しかったです。
そういう環境を創るには、「大人や先生を超えることを全く恐れない」環境を作ることが大事です。
え?恐れることあるの? と思う人もいるかも知れません。
しかし実際に「これが正解だ!」と教えられる環境では、それ以外のことをしたら怒られるからやらなくなっていくのです。つまり先生を超えることをどんどんやめていくのです。
今までは正解があった方が生きやすかったと思います。だからこれは別に大人のせいでも子どものせいでもないと考えています。
でもこれからは、思いっきり才能を開放することに力を注いだら世の中もっと面白くなる。たくらみ屋はそう考えています。
才能を開放する場を作る方法
1.何をやっても受け入れられる安心安全の場を創る
先程の南出市長が仰った「指導者はプログラムができない」は最高の環境ですね。
何しろ先生ができないんだから、やったことは全部プラス。
よく出来た!と指導者も周囲も心から言える。やったことがすぐに自信に繋がる。次のチャレンジに直結する。また実行したら、よく出来た!。。。。
こんな場で、才能が伸びないはずはないですよね。
プログラムをある程度経験していたとしても、これは心がけで可能です。
MGでは教える方は結構経験があります。もちろんその経験で「やり方」を教えたくなる時はあります。
しかし、MGでは素晴らしいルールがあります。それは「教えない」!
あ〜、これ失敗するな〜、と思っても笑って見守っている。
失敗して、自分で失敗した!と言ったり気づいた時、ここが最高の学びのタイミング! そこで大きくその言葉に反応し、その言葉を受け入れて、一緒に考える。
「あ〜、もっとちゃんと商品を作っておくんだった〜。」
「いやー、そうそう! メチャ損したよね!」
こんな感じですね😊
そんなことやっていると「俺はとにかく売らない!商品を取っておく!」って大人がしないくらいどんどん商品だけ作って貯めておく子どもが現れました。
「売らないの?」
「いや! まだまだ!」
結果、その子はちゃんと売るべき所で最大個数売り、自動的に商品が高値で売れるラッキーカードも全部モノにして、黒字経営をしちゃいました😊 いやー、大人はあれはできんな。
もし、欠品した瞬間に「もっと商品作ってなくちゃダメだよ」と先生が教えてたらどうなるでしょう? 「商品をもっと作る」というのが、自発的ではなく他人に言われてすることになってしまいます。
そうすると、いつまで経ってもこう聞くようになります。「いつ作っておくのがいいですか?」「どのくらい作っておけばいいですか?」
その教えてくれた他人に怒られるとか、気分を悪くしてしまうとかというのを「恐れる」ようになるのです。
そうならないように笑って失敗を見守る「見守り役」が常に居るのがいいんです!
(見守り役についての参考記事 → サラリーマン川柳から学ぶ指示ゼロ経営)
2.致命傷になる危険は全力で止めてくれる安心安全の場を創る
しかし、何もかも助けないのはやっぱりダメ。
例えば目の前に溺れている人が「助けて!」って言っているのに、「助かり方は自分で考えろ」っていうのは違いますよね? そんな時は全力で引っ張り上げるのが当然でしょう。
宇宙開発の植松努さんは、「安全に失敗させるのが教育」と言いました。まさにそれが的を得た言葉だと思います。
言い換えると、これからの学校や会社は「安全に失敗させる仕組み」を創る場所になってくるでしょう。
南出市長との会食で出会った「のあっく自然学校」を運営する高井啓大郎さん(写真一番左)は、「今の子どもは火を見たことがない」と教えてくれました。
「え?本当ですか?」
「だって、最初からオール電化の家がたくさんありますし。」
「だから、火の中に手を突っ込もうとするんですよ。」
「わっ! それは大変!」
「何で手を突っ込んだか?って聞いたら、きれいだからって言うんです。」
それは致命的になる可能性がありますね! ではどうしているのか?
「まずはマッチを擦ってもらうんです。まず、マッチの火は熱いと感じてもらう。」
なるほど、やっぱりまず体験しないとわからないってことですね。マッチならもしやけどしてしまっても、致命傷にはならないですね。
便利が溢れる現代では、自然学校から多くのことを学べそうです。普通の学校はもちろん、会社の経営についても。
「それは致命的か? マッチの火のやけどくらいか?」
致命傷に至らない失敗をさせるのは、致命的な失敗を防ぐためでもありますね。
致命的な失敗になりそうな時は助け合える! 恐れから逃れられる、大きな安心安全の条件ですね。
3.出来栄えが目に見える場をつくる
目に見えるって言う意味では、この数字による表彰は凄いプログラムですね!
もちろん、優勝もそうなんですが、MGは「ことがら表彰」っていう仕組みになってます。優勝以外にも、いろんないいところをちゃんと見ていますよって伝わって、私もとても好きです。
数字では表せないもうちょっと曖昧なことがらでは、ビジネスパワー分析っていう方法があります。
これは「バランス力」「互恵力」などを、「自己評価」と「衆目評価」をみんなでワイワイと事実と意見を出し合って1〜5点で点数をつける方法です。
出来栄えが目に見えると、教えられた人だけの評価ではなく、多方面から自分を評価できるようになり、恐れを持つことがなくなります。
大人たちの経験を伝えるのは悪いことではありません。しかし、経験はどんどん蓄積していきます。
蓄積したものを記憶するという時代は終わりました。蓄積したものは検索するようになっています。その先の「できる」ことに教育の重点は移ってきています。
「できる」に天井を設けない。
大人ができるのは、伸びていく力を潰すのではなく、行くところまで行かせて致命傷になりそうなところに気がつくようにしてあげること。死に至る前に手を引っ張ってあげること。
大人たちを次世代が悠々と超えることが当たり前になるようにたくらんで行きたいと思っています😃
投稿者プロフィール
- 1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。
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相談に答えない事業相談会
たくらみ屋の最も気軽な相談窓口です。こんな方に効きます。
・とにかく思考が整理されておらず、とっちらかっている。
・次の一手がわからない。
・問題がたくさんありすぎて、何からやっていいかわからない。