デザインと経営を結びつける「見えない本質」

デザイン思考、デザイン経営という言葉がよく聞かれるようになりました。

2018年にはとうとう経産省が「デザイン経営宣言」をするようになりました。

とても大切なことがこの周辺にはあると感じながらも、依然としてデザインって何?っていうのがデザイン素人にはよくわかりません。

しかしここ半年ほど、タクラミスト達とデザインのディスカッションを繰り返してようやくデザインと経営のつながりが見えてきました。

そこで、デザイン素人が考える「デザインと経営の共通項」を表現してみたいと思います。

 

台風21号の夜の「デザイン × 経営学」談義

たくらみ屋のロゴをデザインしてくれた、design NAP の藤戸佐千世さんは、現在タクラミストの一味になっていただいています。

藤戸さんはビジュアルのデザインはもちろんですが、企業の設立の経緯や理念などの見えない資源や、お客様の見えない要望を引き出し、視覚化してビジネスモデルを構築する「見えないデザイン」も得意な方。

たくらみ屋のロゴも我々自身が気づいてなかった頭の中を整理してもらってできたものです。

参考記事:たくらみ屋ロゴができた経緯が書いてあります。
第1回たくらみフェスタ(3)たくらみのプロセス!

タクラミスト仲間もみんな「困った時は藤戸さんに引き出して整理してもらおう!」って言います。経営者が頼れる、数少ないデザイナーの一人です。

 

その藤戸さんと、TOCfE(教育のためのTOC)理事を務める株式会社ジョイワークス吉田裕美子さんとを新宿で引き合わせる機会がありました。

その日は関西国際空港が水没するなど関西に大きな被害をもたらした台風21号が上陸した日。私は自宅が気が気ではなかったのですが、夜に無事被害なく台風が通過したことを確認してお二人をベルギービールのお店で引き合わせました。

和歌山の藤戸さんは何と車を関西空港に置いてきたとのこと! 「どうやって救出しよう?!」って言いながらの歓談。

その中で吉田さんと私が「我々には超えられない壁がある」って話していました。

「TOCとデザインは繋がりがあると思うんだが、どうも表現できない。我々だけでは突破できない。」

そんな話し合いが藤戸さんはずっと気になっていたようで、後日メッセージを貰いました。

「改めて自分でTOCを解釈して、理解を深めようとしています。デザインと経営は一体となって考える必要があることを来年広めていきたいと思っています。」

その後、メッセージやSlackでタクラミストたちとも多くのディスカッションを行い、藤戸さんは明確に「ビジネスデザイン」の道を歩かれることを決めました。

藤戸さんの記事:ビジネスデザインはじめます。

私もこのディスカッションを経て、いよいよデザインと経営学(TOC)のつながりが見えてきました。そして組織が生まれ変わってイノベーションを起こす大きな流れが見えてきましたで、できるだけ図式化して表現してみます。

 

デザインと経営の共通ステップ

デザインと経営学のTOCの大きな共通項は何か?

ディスカッションから私がまとめたことは

1.素材の再発見し
2.相手中心に設計し
3.価値を視覚化する

でした。

TOCは環境整備を行って、相手の価値と儲けを生むために全体最適をする。デザインのシンプル化、価値の視覚化の過程もほぼ同じように理解しました。

 

共通に欠けている「見えない本質の引き出し」

しかし、経営にもデザインにも共通して欠落しがちな過程があります。

それは「見えない本質の引き出し」です。「潜在力の発見」と言うこともできます。

「1.素材の再発見」では、自分たちはもっと深くにどんな本質的な素材を持っているか?を視覚化する過程です。

事業を始めた動機や理念、目的。何故やるか?Why? そして自分の持てる資源や得意なことは一言で言うと何か? What? を突き詰めていく過程です。

これらを抜きにして、表層の見える素材で見た目をこねくり回して「デザイン」と言って創ったところで、できあがるものも表面的で心に響かないものになります。

ビジネスでも表層のノウハウ、Howだけが語られて、何故それをやっているのか? そもそも自社の持っている価値観や文化、資源や得意技は何か? の引き出しが欠落していることが多い。

藤戸さんはそこを「見えないデザイン」として引き出して突き詰め、視覚化していこうとするところに、経営者との親和性があるのです。

一部の経営学、例えばTOCは「思考プロセス」や「ボトルネック」などの考え方でそこに行き着くプロセスを持っています。

そうです、そもそも設計するための「本質的な素材」を突き詰める!

これが多くのビジネスやデザインの現場で欠けていることであり、突き詰めていきたい共通項であることがわかりました。

 

本質の掘り起こしでイノベーションが起こる

本質が突き詰められて、素材が揃った上で伝わるように視覚化されていくと、それはそれは心動くものができあがります。

見えないデザインやTOCをやっていくと本来持っていた価値を再発見するため心が動く成果物ができてくる。

社内の人とも想いが共有しやすくなるので、結果として指示や命令が減っていく指示ゼロ経営に近づく。

自由闊達な雰囲気ができてくると、イノベーションが起こる自由な発想の土壌が出来ていく。

デザインとTOCを掛け合わせて考えることで、大きなイノベーションを生み出す流れが見えてきました。

このプロセスを、デザイン素人の私なりに何とか視覚化したいと思って描いたのが「イノベーションフロー」です。

クリックして拡大

 

これはたくらみのプロセスを表現しています。たくらみとは、

なるほど! × まさか! = そうきたか!

で表現されます。

なるほど! 自分たちはこんな気づかなかった素材(宝物)を持っていたのか!
なるほど! 相手は、自分では気づかないこんな要望をお持ちだったのか!

まさか! みんなで素材と要望をつなごうとワイワイガヤガヤしたら、思ってもみない方法が出てきたよ!

そうきたか! 思っても見ないものを視覚化すると、みんな驚いて喜ぶものができあがったよ!

たくらみ屋周辺で数多く起こった思っても見ないことは、意識はしていなかったのですが確かにこのプロセスに近い流れで起こっています。

(こちらの「リボーンプロジェクト」の中間あたりにある事例をご参照ください)

デザイン × 経営学で、このようなイノベーションがさらにたくさん起こせるでしょう。

デザイン経営と言われる時代の、どうやって? HOW? のポイントを2点にまとめます。

1.自分では気づかなかった資源と要望が再発見できる方法を使う

TOCの思考プロセスや藤戸さんが使うビジネスデザインのプロセスは、潜在力を引き出す優れた方法です。

2.みんなのワイガヤで文殊の知恵が生み出させる方法を使う

TOCのゲーム研修や、指示ゼロ経営の集団の場作りのノウハウは、普通の人達の文殊の知恵で天才の発想を創り出す方法です。

 

「デザイン経営」という言葉に振り回されない。まず自分たちの本質を突き詰め、相手の気づかない要望を引き出すことができれば、「デザイン経営」という言葉もうまく機能しはじめるでしょう。

実はデザインの4番目くらいの意味に「たくらみ」という訳語があります。 デザイン経営 = たくらみ経営?! もっともっとデザインも経営もたくらんで行きましょうよ(^-^)

 

→ 4/26 藤戸さんのデザイン経営ワークショップはこちら

→ 各地のたくらみ屋TOC研修一覧はこちら

投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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