たくらみ屋の企み blog

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災害時にこそ、ボトルネックと山崩し。

西日本を中心にこのところ地震や豪雨の災害が相次ぎ、被災されて未だ日常に戻れない方が多数いらっしゃいます。心よりお見舞い申し上げます。

天災はいつ起こるかわかりませんし、自然の力の前にいつも人間は無力であることを思い知らされます。

しかし、

1.天災が起こった時に、復旧復興を最速で行えるようにすること
2.天災が起こる前に、起こった時に備えて被害を最小限に受け止める準備をしておくこと

これは実は少しの知恵で、大いに実現できるのです。

最速で復旧するためには「ボトルネック」という考え方。
リスクを最小限に受け止めるには「大きな山は小さく崩す」という考え方。

これらを、私が実際に東日本大震災で役にたった事例からお伝えしていきたいと思います。

必ず何か役に立つ視点があり、簡単にできることもあると信じておりますので、1つでも参考になれば嬉しいです。

 

最速で復旧するには、まず全景を見渡す。

2011年4月。壊滅的な被害を受けた岩手県釜石のお店が、ECショップを再稼働させることで再起する決意をされました。

全国のECのお仲間の皆さんからも大きな支援を受け、私とECの専門家2名とで3日間現地に飛んで復旧ご支援する計画を立てました。

4月28日、いわて花巻空港に降り立ちます。たった3日間でミッションが達成できるかどうかみんな不安でしたが、幸いなことに震災前に一つの知恵を授かっていました。

「全体を見て、ボトルネックを探す。」

そこで、空港からすぐに向かったのはホームセンター。模造紙とペンと付箋を鷲掴みにして、花巻の移転先の事務所に向かいます。

とにかく、大雑把でいいから現状の全体が見れる図を作りたい。そして30分で作り上げた業務フロー図がこれ。

ボトルネック、すなわち現在業務が詰まっているところはどこか? お客様に販売ができない原因となっているところはどこなのか?

本当に大雑把な図ですが、この図を見れば一目瞭然でした。

矢印が集中している2つのところです。

最初の仕入れで矢印が集中しているところが納品のところ。3本入ってきている一番右の矢印が主力商品、しかもいろんなメーカーさんから仕入れるなど、工程がたくさんあってやっかい。

しかも仕入の担当は、震災で亡くなった店長さんがやっていた。

今日は4月28日? 14時? それは大変! 明日からゴールデンウィーク! メーカーは一斉に休みになる。今からメーカーに電話をかけまくれ!

メーカーさんに震災の事情で。。。とお伝えしたところ、夕方までに皆さん快くスムーズな納品に協力していただけるようになりました。

まず、商品を確保するための1つ目のボトルネックが開通。

その作業の間に、ECの専門家たちが2つ目のボトルネックに注目しています。

そこは写真を撮る、説明文を書くなどの作業をして、ECのシステムにそれらをアップロードするという作業でした。ここも亡くなった店長さんがやっていた。

だから、2日目の作業はこのシステムが使えるように新店長さんを研修することになりました。

全体を見た上で、その研修の大切さを実感しているため力が入ります。そんな時の専門家の力は本当に頼もしい!

その結果、2日目のお昼すぎには全国から応援の注文が入りだすようになりました。

3日の予定が1日半で復旧活動が終わってしまった。

もし、全体を見ずに3名がバラバラに自分の得意な分野で行動していたら、復旧に何日もかかったかも知れません。

しかし全体を見て、ボトルネックを特定したことでこんなにも早く終わってしまった。

これが、どんな時にも「全体最適」「ボトルネック」という知恵を持ってほしいと私が思うようになった体験です。

 

リスクを柔らかく受け止めるには、大きな山は小さく崩す。

さて今月、2018年7月の豪雨でも各地で大きな被害がありました。

その中で、人気の日本酒「獺祭」を造る旭酒造さんからも被災のニュースが飛び込んできました。

2年前に工場見学に行って実際にその場所を拝見していたので、ドキドキしながら見守っておりました。

下からはカメラに収まり切れないこんな大きなビルでしたが、

お米などがあった1Fが浸水。

このようにたくさんのタンクに貯蔵してあるお酒も、停電のため温度管理ができなくなり、獺祭品質としては出荷は不可能になったそうです。

被害総額は数億円ということ。。。

しかしその中でも、リスクが分散されていたので倒産に至る致命傷にはならなかったことが伺えます。

 

一つめの鍵は、年中お酒を創る四季醸造ということ。

今まで日本酒は冬の寒い時期に大きなタンクで年1回造る方法がほとんどでした。

旭酒造さんは、徹底した温度管理されたビルの中で、いつでも酒造りが出来るようにしています。

このメリットは、常に新鮮なお酒が出せるということ。

小さなタンクの数個分づつ順番に造り、順番に出荷していけば、いつでもお店に品切れなくお届けできる状態になります。

年に1回造ってドッと出荷すると、あとに行くほど新鮮ではなくなるし、在庫を置くのも大変だし、物流も大変でお店もドッと仕入れることになるので困る。

この「大きな山は小さく崩す」ことで、獺祭というお酒は「美味しくていつでも品切れなく飲める酒」という地位を確立して行くのですね。

 

そして今回の水害。

「今ある」お酒は残念ながら出荷できないものになりましたが、これが年間で生産したお酒が全てダメになるなんて被害を被っていたら、どうなったでしょうか?

恐らく「倒産」という2文字が浮かぶ大損失になっていたものと思われます。

しかし、今はいつでも造れる体制です。現在ある在庫がダメになっても、復旧すればまた造り始めることができます。

桜井社長によると、幸い出荷センターは別の場所にあり、1〜2ヶ月分の在庫は確保しているということ。

復旧出荷までに2ヶ月が見込まれるが、その間の損失のみに抑えることができるということですね。

生産の時期を分散。1年という山は、毎日という山に崩す。

「大きな山は小さく崩す」が、大きな災害があっても致命傷には至らないようにリスクを柔らかく受け止めたということができるでしょう。

さらに面白いことには。。。

人気の獺祭が品薄になる!と買い占める人が当然出てきました。しかし、美味しいお酒をいつでも飲めることを指示していたファンがSNSなどで次第に声を上げてきます。

「買い占めるようなところからは買わないのが応援だ。」

良い品質で早く届けるとファンが増えた。その人達がブランド力を守ってくれたということになるでしょう。

最後は、リスクを和らげるのは人の繋がり、信頼関係なんですね。

お客様の支持が得られる商売が、大きな山は小さく崩すことからできていると考えることができます。素晴らしいことですね。

 

旭酒造さんはもちろん、多くの被災された方々がいち早く日常に戻れることをお祈りするとともに、

「ボトルネックに注目する」「大きな山は小さく崩す」で多くの人がリスクを最小限に受け止めらるように、心から願っています。

 

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森本 繁生
Shigeo Morimoto

1966年大阪市生まれ。シナリオタクラミスト。株式会社こきょう 代表取締役。 「教えない」企業研修で何故か参加者の家庭や地域も良くなってしまう。革新の好循環を起こす「プロの素人」。そのためにTOC(制約条件の理論)MG(MQ戦略ゲーム)、20年全国のECショップの現場を飛び回った現場経験、臨床心理学を駆使。 1996年「電脳乞食」が日経グランプリを受賞、最初のたくらみ成功事例となったのをきっかけに、電子商店街「逸品.com」やEコマース勉強会「OSMC」を創設。2009年からMGインストラクター資格、TOC国際認定ジョナ資格などを取得して企業研修に力を入れ始める。 京都大学教育心理学科卒。野鳥観察や坐禅断食を楽しみ、4年半のニュージーランド移住経験を持つ自然好きでもある。特技は忘れ物と日付を間違うこと😃

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