社長がボトルネックと思う場合は

「社長がボトルネック」という言葉はよく聞きますね。そう言いたくなるのはもっともだと思います。

だって社長って一番デキル人のことが多いですからね。仕事ができる人には仕事が集まる。それはボトルネックになりやすいと思います。

しかし「社長がボトルネック」という言葉は2つの意味で私は好きではありません。

1.社長がボトルネックと言って安心し、考えるのをやめてしまっているように見えること。
2.社長が悪いって言ってるようも聞こえること。

Never say I know (決してわかったと言わない)にも反しているように感じるし、人はそもそも善良であるっていうTOCの思想に反する。

会社が良くなりそうな気もしないし、何より楽しくないですね!

しかしもう一歩進んでこの中身を突き詰めると、凄く効果的になることを体験しました。

12月16日〜17日の東京TOC研修では、全国から学ぶ気満々の素晴らしい方々が集まりました。MGのインストラクターコースに参加済みの人も多数で、素晴らしい教え合いの場作りに助けられました。

まずはTOCのダイスゲームでボトルネックに注目することの素晴らしい効力を体感してもらいます。何回かやった人もすぐに忘れる感覚なので、私も定期的に思い出すようにしています。

ボトルネックの重要性がわかったら、最後に自社の業務の流れ図(業務フロー図)を作成し、ボトルネックを探します。

そこで、ある社長さんがうーんと唸っています。

「新商品開発の業務の流れを描いているですが、どれもボトルネックに見える。。。」ということです。

「あれも滞る」「これも止まることがある」「どこがボトルネックだろう?」っていう感じです。

ここで根本原因を考える一言が出ました。

「いろんな仕事が多くて同時進行しているからかな。。。」

最近の研修では自律的集団づくりを意識しているので、講師役の私はほとんど「教えない」のですが、根本問題に近づいた時は一つだけ質問をするようにしています。

 

シンプルに「悪いことの反対は、いいこと」

それは「悪いことの反対は、いいことのはず」という極めてシンプルな考えから来る質問です。

「その悪いことがなくなったら、解決したら、全てうまく行きますか?」という質問です。

今回の場合は、このように質問しました。

「もし仕事がたくさんなくて、やる仕事が1つだけだったら、業務はとってもスムーズに進みますか?」

社長さんはしばらく考えて、こう答えました。

「。。。いえ、それでも進まないと思います。」

たった1つしか仕事がなくても進まないのは何故だろう? 社長さんは続けて考えられました。

「これでいいですか?とか、これはどうしたらいいですか?とか、みんな私に聞いてくる。そうか。私の意思決定がボトルネックになっているんだ!」

その言葉を聞いた周囲の受講者がいろんな意見を出し始め、ディスカッションが始まりました。皆さんの力で解決を始めた時、自律的集団になった時は、講師は不要になるのでその場から離れます。

 

ボトルネックをもう一歩突き詰めて、5stepを活用する

まず、ボトルネックの特定ができました。

「社長の意思決定がボトルネック」。

これは「社長がボトルネック」って言うのと、随分印象が違うと私は思います。

「意思決定がボトルネック」なら、TOCの継続的改善の5段階がすぐ適用できます。

1.ボトルネックを特定する
2.ボトルネックを最大活用する
3.ボトルネックに全てを従属させる
4.ボトルネックの能力を引き上げる
5.惰性に取られずに1に戻る

1は終わったので2に進みます。最大活用するって言うことはボトルネックの「意思決定」をもっと頑張れ!ってことではありません。そもそもこれまでも頑張っていますから、まずはそれを「軽くする」のが簡単です。

TOCのザ・ゴールのマンガでは、ボトルネックの大地君の重たい荷物をみんなで持ってあげます。同じようにまずは意思決定も「他の人が持ってあげられるものは持つ」ということですね。

ここでは、指示ゼロ経営セミナーの簡単なワーク「社長がしかできないこと、スタッフさんでもできること」の業務の分類が役に立ちます。「本当にこの意思決定は社長しかできないの?」ということを皆さんで考えるということですね。

「社長、材料仕入れの選定はこの基準がわかれば私たちでもできます。」
「出張のホテルの手配などは私でも探せます。」
「お昼の弁当どこで頼むなんて私たちが決めます!😃」

それだけでもすぐに社内の雰囲気が変わると思います。

同時に3番、意思決定をこなせる能力に応じて仕事を入れるってことを考えておきます。そもそも忙しいって仕事を入れすぎてるってことですもんね。

意思決定がボトルネックであればそれが会社の能力とイコールです。それに合わせて仕事を入れましょうってことですね。そもそも仕事が溜まらなければ社員さんも時間が出来て、意思決定を少しはお手伝いすることに前向きになれると思います。

「社長がボトルネック」と思ったら、もう一歩突き詰めればよい会社になっていくと思います。月曜日が楽しい会社が増えますように!

 

↓ 月曜日が楽しい会社が増えるTOC研修

1/13-14大阪 1/23-24山形庄内   2/10-11岐阜(残席1) 2/20大阪1dayTOC 

投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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