教えない。でも「これでいいの?」は伝える

大阪府泉大津市で、11/2に第1回子ども商店全国サミット & 11/3にイベント出店が行われました。

子ども商店プロジェクトが始まって2年。大きく2つ、驚くことがありました。

1つは何と言っても、子ども社長たちの成長ぶり。

カメラマンが「ファインダー越しに凄いものを見た」と感嘆した、子どもたちのハキハキとしたスピーチ。即座に本質的な言葉で答える質疑応答。

「社員への気遣いのない会社は潰れると思います。」

「大人の言うことは正しいこともあるし、間違っていることもある。一旦それを信じて、真似してみることも大切かなと思う。」

ビジネスセミナーなどで聞くよりも、シンプルで本質的で、心にズドンと響く言葉。

こんなことを堂々と言える社長、我々よりずっと先に行く社長になったんだなぁと感慨深いです。



 

2つ目は、志の高い大人の方々が、ここに次世代の未来を明確に見ていただいているということ。

泉大津市長 南出賢一さんの、才能を青天井に伸ばすことから世界を見据える高い志。

泉大津商工会議所会頭 臼谷喜世彦さんはMGから学ぶPL・BS・キャッシュフローの効果を説かれ、「MGをやっていなかったらただのお店ごっこで終わっている」という発言が印象的でした。

地元有力企業のグローフーズ株式会社 代表取締役の井ノ元豊さんは「この人たちと5〜10年後に一緒のフィールドで事業するの、メッチャ嫌です!」と本音を語りました(^-^)

教育長さんも出席されています。桃山学院大学さんやファーストスタディ日本語学校さんもエールを送ります。政治・経済・教育のキーパーソンがこれだけ集まって応援してくださるって、何が起こっているのでしょう?

恐らく皆さんには子どもたちの活躍を通じて、明確な未来の映像が見えているのだと思うのです。本当に社会に必要なことと皆さん実感いただいているのだと思います。

たくらみ屋として使命感も湧いてくる、とても素晴らしい第1回サミットでした。

 

大人が売れないって言っていたものを売った!

「おづみんフェスタ」の子ども商店リアル出店では、イノベーションが起きました!

今まで子どもたちの商品は全部が手軽に作れる食品だったのですが、今回初めて食品でない商品が出品されました。

それは、写真入りキーホルダー。お客様の写真をその場で撮影ブースで撮って、すぐにキーホルダーに入れて販売するのです。

価格は400円。

子ども社長のチャレンジの機会を奪わないために、大人たちには「お口チャック」のルールがありますが、心の中で思っていたことは。。。。

「キーホルダー400円? ホンマにやるの?」
「そんなん、売れるわけないやん。」
「絶対閑古鳥鳴くで〜!」

大人は誰一人として、売れると思っていなかったのです。

しかし子ども社長3人は、前日のサミットでしっかりPR。すぐに会場の皆さんに実物を見せて回ります。

そして、当日。朝イチからバンバンキーホルダーが売れる!!

食品に引けをとらないペースで売れていました。しかも年配のお客様が多い。子ども社長たちに撮ってもらって、家族との思い出を嬉しそうに受け取っています。

これには、大人たちみんなが驚き! 私も一緒に写真を撮って作ってもらいましたが、この体験自体が楽しい。

「キーホルダー400円で売れるか?と喉元まで出かかっていましたが、作ってみたら結構嬉しい(^-^) 1つしか作らなかったので息子に取られてしまい、もう1つ作っておいたら良かったとプチ後悔。自分は結局、何も価値が分かってなかったんだと再確認しました。余計なこと言わんで良かった〜〜」

「モノコトを売るんではなくて、体験を売る。価値創造の最先端をデフォルトで考えられるって、ジュニアプレジデント最高!」

みんなが「できるわけない」と思っていたもの。そんなのやるの?って思っていたもの。それを見事にコミュニケーションを取って価値を創って売る。

イノベーションの現場を間近に見ることができました!

今起こっていることは若い人にしかわからないことを実感。大人たちが自分でイノベーションをやろうとせず、若い人にどんどん本質と価値を考えてもらう場所を創りたいですね。

 

できばえには「これでいいの?」と問う

さて「お口チャック」つまり、「教えない」がルールの子ども商店プロジェクトですが。。。

教えないのと、何もしないのとは違います。

年長者の大きな仕事の一つは場作り。先程のようなイノベーションが起こるような土壌、環境、場所を作ることが大きな仕事です。

もう一つは「今、君たちはここに居るよ」と知らせてあげること。「イマココ」を伝えることです。

 

例えば、こんなことがありました。

チョコフォンデュを買ってみると、カップの外側にチョコレートが垂れて付いているのです。

価格は400円。社長達に伝えます。「チョコレートが手につくね〜。」「このできばえで、いいの?」

つまりお客様が困っている、不満足に思っているという事実を伝えるのです。それでいいのか?と問いかけるのです。

 

具体的にどうしなさい、こうしなさいというのは、危機的状況を除いて伝えません。みんなが目指すものはこれだったの?と正直な気持ちを伝えます。

これは指示ゼロ経営の米澤晋也が得意です。彼は社員さんに対して「できばえにはケチをつける」と言います。

カップの外についたチョコレートを綺麗にする方法を教えると、それだけをやろうとするかも知れない。

しかし「できばえ」のゴールを再認識してもらうと、もちろんこぼれたのは拭き取ればいいんだけど、そもそもこぼれないようなオペレーションを考えるかも知れない。もしかしたら商品自体を全然違うものに改良するかも知れない。

もっともっと、考えてチャレンジする機会を作ってあげる。それが大人のやる仕事なのです。

 

そんなイノベーションを起こる場作りが常に意識できるように、今回のイノベーションの象徴であるキーホルダーをしばらくスマホに付けておこうと思います(^-^)

次世代と共に、どんどん新しい価値を創り出していこう!

→ 関連記事 「教えない、お口チャックも楽しむ」

投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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