ボトルネックという言葉すらも「惰性」になる

普段たくらみ屋メンバーが当たり前に使っている「TOC」「ボトルネック」という重要キーワードが、何と惰性の始まりになっていたというお話です。

ボトルネックなどいろんな有効なキーワードを学ぶと、それをついつい伝えたくなります。そして何人かの相手に伝わっていいことが起こると、それを当たり前のように使い続けて行くことになります。

しかし、当たり前に使っているとある時から「あれ〜、何だか伝わっていないな?」「何か勘違いされているな。」と感じることが出てきました。

そこで、ボトルネックという言葉をもう一度洗い直してみたのです。

 

ボトルネックは通じない言葉?

TOCを学んでいる人は当たり前にボトルネックという言葉を使っていますが、実は国が「わかりにくい言葉」に認定していた?!

「国立国語研究所 外来語委員会」というところが、平成18年に「分かりにくい外来語をわかりやすくするための言葉遣いの工夫」という冊子を作っており、その138番目に「ボトルネック」が掲載されているのです!

「ボトルは瓶、ネックは首を指し、本来の意味は瓶の首の細くなったところ。」

ふむふむ、そこまではなるほどです。

「流れが滞る場所という本来の意味を活かせば ”隘路”(あいろ)という言い換え語が適切である。」

何だって? 隘路? そっちの方がわかりにくい!

「ただし(中略)分かりやすさを重視すれば「支障」という言い換え語を使うほうが適切な場合が多い。」

うーん、支障かぁ。しかしこれだとTOCで使う根本問題、制約条件のニュアンスがほぼ伝わらないですね。

 

ビジネスシーンでもボトルネックの使い方は様々

本当にそんなに伝わらないのか? ともう少し調べてみると、やはりビジネスシーンでもボトルネックはよくわからない言葉のようです。こんな記事がありました。

意外と分かっていない人が多い!「ボトルネック」の本当の意味

その事例は。。。?

「お願いしていた件が一向に改善されませんが、何が【ボトルネック】なのですか?」
→ 【上手くいかない原因】

「A社に対する売り上げが全然とれていないけど、【ボトルネック】は何?」
→ 【拒否する理由】

「今日は我がチームの【ボトルネック】を浮き彫りにしたいと思う。何か意見は?」
→ 【非効率の要因】

 

なるほど〜〜〜。世間では「瓶の首の細くなったところ」という本来の意味からはどんどん離れて使われているような感じですね。

そうすると「ボトルネック」はみんな瓶の首をイメージして使っていると思うことこそ思い込み! かも知れませんね。

 

当たり前に思うことが惰性の始まり

ボトルネックという言葉を調べてみて改めて感じました。我々が当たり前に思っていることこそ危険な思い込み、惰性につながる。

ボトルネックは「瓶の首」ですから、ついつい物理的なものを想像してしまいます。しかし、本当に探したいのは「制約」となっているものです。それは物理的なモノである場合もありますが、思い込みであったり、時間であったり、空間であったりします。

TOCはそもそも「制約条件の理論」ですから、もしかしたら「制約」という言葉の方がまだ伝わりやすいかも知れませんね。もっといい言葉が見つかればそっちを試してもみたいと思います。

今回、深く調べてみてよかったです。

行き詰まったら当たり前と思っていることをチェックする。

「常に仮定、前提をチェックせよ。」とTOCでは言います。

TOCの実践自体でもそれは真実だったのです。キーワードのボトルネックが惰性の始まりだったなんて。

そして、いつの間にTOCとかボトルネックを当たり前に使うようになったのかな?と考えてみました。

 

前提が変わったら行動も変える

イノベーター理論というのでよく出てくる図です。

最初のイノベーター(革新者)は、たった1人で面白いこと、新しいことをやりたい!という動機で動きます。それをフォローする「アーリーアダプター」と呼ばれる人は、新しいものに飛びつく人たちです。

わたくし森本は飛びつく人なので(^-^; TOCは今ほどやる人が多くなかった時期に飛びついて一気に学びました。

そしてTOCの講座をはじめて公開で行った時は「TOCという言葉はわからないだろう」と思ったので「不良在庫一掃講座」として行ったのを覚えています。

最初は多くの人が体験してくれましたが、継続した人はTOCという言葉を知っていた人でした。そんな人達から「これはTOC講座ですか? TOCって言ってないから参加を迷っています。」と言われた時に、TOCという言葉を前面に出すようにしたのです。

 

あれから8年ほど立っています。TOCを実践する人は増えました。知名度がある程度出てきました。

そうです、ここでは 市場の前提が変わっている のです。

今から新しく参加するのは、もうイノベーターやアーリーアダプターではない。誰かが成果を出したのを見てから動く「マジョリティ」つまり「安心安全であることがわかってから動く人」が多くなるのです。

「TOC、何かわからないけど面白そうだからやってみよう」というイノベーターとは動機が違います。「TOC」「ボトルネック」という言葉が少しわからないと、イノベーターのようにそこを突き詰めようとせずにやめてしまいます。

ですから最初により身近な言葉で「自分の現実とつながる、自分に取って必要なこと」と思える入り口が改めて必要になってくるのです。

興味ある入口から入って、そこから本質にたどり着けるように環境づくりができるか。そういうことがポイントになってきている時期なのです。

 

農業TOC」「緊急TOC」「バリアTOC」など、分野別のTOCの入り口をたくらみ屋の仲間が増やそうとしているのはそのためです。

しかし、先日のTOC現場実践者コースで「それでもまだ不十分だね」「TOCって言わなくても伝わるように考えたいよね」という話し合いが行われていました。

そうです、以前ブログに書いたように「TOCが伝わらないのは、TOCを伝えようとするから」。伝わった結果それがTOCだった、でOK。TOCを伝えることが目的ではなく、相手が良くなることが目的なのですから。

 

常に思い込みや惰性にとらわれず、当たり前と言わずに、前提の変化を楽しんで行きたいと思っています。

「今日は何の前提が変わった?」

 

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投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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