発酵に学ぶと多くの力を味方にできる

私がお世話になっている無農薬米の農家さんは、ここ数年「無施肥無農薬」つまり農薬も肥料もやらないっていうお米づくりにチャレンジしています。

「最初は先輩の言うとおりやってみたけど、全然信じてなかった。」

本当に、ほとんど何もしないんですよ。有名な「奇跡のりんご」のやり方と同じかも知れません。

そりゃー最初は信じないですよね。今まで頑張って頑張ってやってきて、ようやくいいお米ができてきたんだから。

実際にやってるのは、水くらいは田んぼに行き渡るようにしている感じ。あとは一般には「雑草」と言われる草が生えてもそのまま。やることはただただ自然の力を信じて「気にかける」だけ。

それが2年、3年やるごとに明らかに収穫量が増えて、どの稲よりも元気なんですよ。どのくらい元気かって言うと、台風が来て他の稲穂が倒れても、そこは倒れない。見るからに茎が青々してて太くて丈夫なんです。

こっちが私が実際に写真を撮ってきた一般栽培米で

 

こっちが無施肥米。

 

素人目に見ても全然違います。 「このくらい(雑草と言われる)草が生えている方がいい」って言います。

 

「周りの生き物、見えない微生物くん達がちゃんとやってくれてるんやろうなぁ。」

数年やっても、長年の経験がある農家さんもまだ自分で信じられない自然の力、見えないものの力。「人間の肉眼には見えない力」が動いているのです。

実は、最近この微生物の見えない力で起こる「発酵」をイメージしていると、人間の集団や経営もうまく行くことが多いのです。

わたくし森本が最初に発酵に興味を持ったのは、その場にある自然の菌だけでパンをつくるタルマーリーさんの「腐る経済」という本を教えてもらってから。

「菌本位制」「借菌をしない」という何ともユニークな表現で心を掴まれた私は、早速タルマーリーさんを友人たちと訪問。

初対面なのにパンの製造現場やパンのもととなるビールの製造現場を見せてもらったりして、そのオープンさに感動したものです。

 

そこからタルマーリーさんのお仲間を訪ねるようになり、次に行き当たったのが寺田本家さんの「発酵道」。

安くて身体に良くない酒を造ってついには自分の身体も壊してしまったという反省から、タルマーリーさんと同じように蔵の中にある菌だけで醸造。ついには発芽玄米を発酵させる玄米酒まで造ってしまった。それが血圧の高い人も飲めるって大人気。

この人も会いたい!と思って、寺田本家の寺田優さんがトークで出演するイベントに行って会いに行ったのですが、そのイベント名が「ホリスティックビューティーライフ」。つまり女性向けの美のイベント。

もちろん寺田さんのお話も納得することばかりだったのですが、何よりも渋谷の中心に200人近い女性が寺田本家さんの商品に感動して求めているのを見て、凄いな〜、世の中の流れはこうなっているんだな〜と感じたものです。

 

さて集団や会社も人間がつくるものですから、この自然の力を最大限に引き出す「発酵」の考えを採り入れていくと好循環が生まれます。

 

1.環境を「作りすぎない」ことに徹する

田んぼを想像して下さい。アメンボ、タガメ、おたまじゃくし、カエル、鳥。。。などいろんな見える動物が居ますね。人間の力出それらの動物全てに最適な環境を提供できるでしょうか?

なかなかそれは難しい。

それに加えて、目に見えない微生物がたくさんいます。人間の肉眼で見えないんですから、いい環境などわかりようもない。だから、自然の大きな力にできるだけ乗っからせてもらうのがいい。

いい場所だと美味しく発酵する。ダメなら腐る。人間も同じではないでしょうか。

多様な人が集まった集団を作ると、次の三役が出てくると米澤晋也は言います。

1.リーダー:常に前を走りたい人
2.フォロワー:その後に付いていきたい人
3.見守り役:全体を見守る(気にかける)のが好きな人

常に走りたい人はいいシューズを履こうとするだろうし、付いていく人はよく前の人が見えるメガネがほしいと思うかもしれないし、全体を見たい人は高い場所に上る脚立が欲しいかも知れない。

大切なのは、それぞれが自分の持ち味を発揮しようと思った時に取る行動にフタをしない、潰さないってことです。それをやればやるほど自然界の法則から離れて集団が迷走する。

集団作り、会社づくりも「土壌をつくる」「風景をつくる」くらいの感じが作りすぎなくていいように思います。実はこれをこれをやっているのが指示ゼロ経営です。

 

2.どんな微生物も役割があると受け入れる

「発酵道」を読んでいると、玄米酒には「昔、この菌が出たら酒蔵は壊滅するので夜逃げしなければならない」と言われていた「火落ち菌」までもが混じっているといいます。

そんな悪役菌までも取り込んでしまって一つの良い発酵物ができる。

「多様性」「ダイバーシティ」を理解しよう、受け入れようって昨今よく言われますが、要するにこういう高次元の発酵ではないでしょうか?

どんな菌にも、どんな生物にも、どんな人にも活躍できる場所があると受け入れるということを教えてくれているように思います。

 

3.起こっていることを、ありのままに見て感じる

そういうことが実際に起こっている現場を、まず見る。ありのままに見る。先入観なしに見る。

昔の人は言いました。「百聞は一見にしかず。」

そして、ブルース・リーのごとく「考えるな、感じろ😊」

いろいろ頭で考えたり想像したりするけど、見れば信じられる。いや、まだ見ても信じられないけど、わからないけど、そんなことが起こるってことはわかる。

そういう現象、事象をありのままに見ることから始めようということですね。

「ありのままに見る」を続けると習慣になってきます。先入観を取り払うと「感じる」こともできやすくなってきます。

 

発酵っていいですよね。身近にあるしイメージしやすい。

「見えない力が働いている。。。」などと言い出すと、どんどん怪しくなって来がちなんですが、発酵してるって考えると、見えない微生物が働いてくれていると思えるし、自然の力を使わせていただいていると思えるし、子どもからおじいじゃんおばあちゃんまで、すっと受け入れてもらいやすいですよね。

発酵経営 = 指示ゼロ経営 ってまだまだ手探りです。人智の及ばないところが多いと思います。

しかし可能な限り、個人も集団も自然に沿った姿でありたいな。TOCの創始者で物理学者のエリヤフ・ゴールドラットもこう言っていますからね。

「自然はそのままでうまくいっている、矛盾はない。」

投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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