企業は、社員に稼ぎ方は教えるが使い方を教えていない

たくらみ屋の米澤晋也です。

企業には、その組織特有の「お金の文化」があると思います。
稼ぎ方と使い方に関する風土です。
inとoutには文化的な相関関係があると感じています。

そもそもお金は幸せな人生を送るためにあります。
今日は、幸せな稼ぎ方、使い方を通じて健全な組織風土を創る必要性を考えたいと思います。

お金に対する文化が荒んでいると企業は発展しない

「どう稼ごうがどう使おうが、その人の勝手、金は金」…そう割り切ることもできますが、これからの時代は経営者が真剣に考えるべき問題だと僕は思っています。
なぜならば、お金の文化は企業繁栄に影響があると考えるからです。

例えば、ある通販会社では営業オペレーターの賃金が完全成果報酬型(フルコミッション)でした。
これは会社からの「稼ぎたければ成果を出せ!」「さもなくば去れ」というメッセージです。
すると、とにかく「生きるか死ぬか」の戦いが始まります。

そこには豊かな人生観も幸福観もありません。
すると、どうなったか?
無理な営業をして顧客からの信頼を失い、返品の山ができたそうです。
オペレーターの中には月給100万円を取るような女性も出ましたが、こういう社風の中で稼いだ金はうさ晴らしをするように使ってしまったそうです。
分かりやすく言うと、虚栄心を満たすためにジャブジャブと使う。
そして、その欲望を満たすためにはさらに稼ぐ必要があるので、さらに強引な営業に走るという悪循環に陥ったそうです。
これでは企業は繁栄しないよね?

社長はそれを非常に悲しみ、フルコミッションを改め、健全な社風の醸成に力を入れました。

他者評価ではなく自分軸を持つこと

お金は人の欲望を満たすためにあります。
でも、ひとことで欲と言っても、様々ですよね?
マズローの欲求5段階説に照らし合わせると分かりやすいかもしれません。

まず「食うため」「安全に暮らす」という生存、安全欲求に基づく動機があります。
日本の場合、ほとんどの人がこれは満たされているのではないでしょうか?
健康であれば食うに困らない職はたくさんありますし、安いアパートもあります。
しかし、この欲求は非常に強いが故に、失業や転職をすると恐ろしいまでの不安に苛まれます。実質的にその心配がなくてもです。

他者から認められたいという欲望も強いです。
しかし、それが希少価値の高いモノを所有することで満たそうとすると、お金の感性はトゲトゲしくなると思います。

以前に、寿司屋で、「いかにも」金持ちそうなオッサンがタクシー代行の運転手にキーを渡し、こう言い放ちました。
「このBMWは7シリーズで高いからな、気を付けて運転しろよ」「お前、運転したことあるか?」

ダサいです。
かっこ悪いです。
心配なら電車で来いって感じです。

「BMW7シリーズに乗っているオレはすごいだろ?」って話ですよね?
すごいのはBMWであってオッサンではないのです。
本当にカッコイイ人は、プリウスに乗った時に「おい見ろよ、◯◯さんがプリウスに乗っているぞ!オレもプリウスにしようかな?」となると思います。

僕が一番愛用している「ビッツ」が我が家で一番良く走る

これなら安い居酒屋で未来を熱く語るオッサンの方がカッコイイと思う。

「希少価値が高い」という理由だけで憧れるのは損な話だと思います。
多くの人が憧れるけど買えない…それを所有し羨望の眼差しを集めるから虚栄心を満たすことができるわけです。
だから、そんな理由で憧れるのは、所有者の虚栄心を満たすことに加担するだけだから悔しいですよね?(笑)

他者の評価ではなく自分の軸を持つことだと思います。
「BMWが純粋にカッコイイから欲しい」とかね。

人の欲求に成長段階があるように、企業にもそれがあると思います。
それが企業風土として表れる。

もちろん、価値観だから社員に強制することはできません。
でも、長く繁栄する企業ほど、こうした文化が成熟しているのも事実です。

仕事に誇りを持ち、個性が活き、お客様や仲間に喜ばれる。
自己実現を目指し働くと、稼いだお金を自己実現に使うと思います。
とても良い好循環だと思います。

そして、モノに溢れた現代では、生活者はそういう人から買いたいと思っている…そんな気がします。

豊かさについて真剣に考える時期かもしれませんね!

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