「私ならできる」を手放す大いなる葛藤ストーリー:ポンコツのススメ

「自分はできる」アピールはうまく行かなくなる、と感じ始めたのは2012年から2013年あたりでしょうか。

最初の出来事は2012年、46歳の時。電車で見ていたiPhoneの文字が、一瞬ボケたのです。

そうです、老眼です。「あ、自分はもう遅い。」と、その時凄く感じました。

自分はもう遅い。このままではパフォーマンスが落ちる。。。

しかし、すぐにはどうしていいか分かりません。

夫婦と2人の会社でずっとやってきたので、自分の頑張りがイコール稼ぎと考えてきています。

人に任せる? 誰かと一緒にやる?

なかなか、遅くなった自分をどう活用するかの考えは出てきません。

時を同じくして、現在たくらみ屋の共通言語となっている「制約条件の理論」(TOC) 思考プロセスの国際資格を取得するために、8日間のトレーニングに参加していました。

ここでは、自分自身の根本のジレンマに向き合うことになります。

いろんな困りごとを書き出してみて導き出した根本のジレンマは

「一人でやる」 vs 「チームでやる」

でした。

どっちに進んで行くか? あまり迷いはありませんでした。

チームでやる、を選択した方が未来のいいことが断然たくさん書けるのです。

しかし、実際にこの選択が実行できるようになるために、長〜い年月がかかってしまうことになります。

4人の代表取締役のたくらみ屋が動き出したのは2016年。タクラミストという11人になって、そろそろチーム感が出てきたのが2019年1月。

そして11人がそれぞれまた自分たちのつながりを持ち、全国へと仕事が本格的に広がり始めたなと感じることができたのが2020年、それも特にコロナ以降。

ようやく一人ではなくチーム感が出てきました。「私」ではなく「私達」と言うようになりました。

なぜ、ここまで時間がかかったのでしょうか?

それを解く鍵は「ポンコツ」というキーワードにありました。

個々が完成しすぎていると、チームはできにくい。

それぞれがパズルのピースのように凸凹しているからこそ、つながる手がかりがあって、ぴったり合わさるともっと大きな面白いものができる。

しかし一人でやろうと頑張っているうちは、自分が「完成形」。他の誰からも合わせられる取っ掛かりがない。

力も合わせられない、情報も集まらない、知恵も生み出すことができない。

さらに最近は、情報量や変化が多く、一人では対応しきれない時代。

力を合わせ、必要な情報が得られ、みんなで知恵を出して行動するためには、自分が「完成形」であることを手放さないといけない。

ここに大きな葛藤があるのです。

自分ができないことをいかに受け入れるか、いかに認めるかという、人生の大きな課題に直面することになるのです。

今まで自分を高めようと思ってやってきた努力は何だったのか。
自分が身につけてきた経験と技術は何だったんだろうか。
自分以上にできる人をどう受け入れればいいんだろうか?

努力を放棄することにならないのか?
自分を高めることをやめるのは怠惰な人間ではないのか?
人生を諦めていることにならないのか?

これまで頑張ってきた人ほどそう思うのです。

私の場合、本当に自分ができないことを受け入れるようになったきっかけは、子どもたちの才能を見たからでした。

「子ども商店プロジェクト」が大きかったです。

自分たち大人が数年かけて学んだことを、子ども社長たちは数日学んだだけでいとも簡単に身につけてしまう。

身につけるだけではなく、我々が苦労して学んだことを、自分たちで考え出してしまう。

この体験をいつも目の前するようになると、もはや自分が他より勝っているか凄いかとかいうことはどうでも良くなり、そんな才能をたくさん発動させることが面白くなってくるのです。

子どもたちだけではありません。いつも接する友人、同僚、仲間、家族にも自分ではできないことを少しづつ発見するようになり、相手に敬意を持てるようになるのです。

そこから本当に自分のポンコツを認められるようになり、心から尊敬し、信頼し、感謝する気持ちが本物になってくるように思います。

心配することはありませんでした。

努力を放棄することにならないのか? → みんなの環境づくりにさらに努力することになりました。

自分を高めることをやめるのは怠惰な人間ではないのか? → 相手の才能や発想、そして生き方を見て、さらに学ぼう、経験しようという気持ちが湧いてきました。

人生を諦めていることにならないのか? → これまでの何倍もの人生の面白さがみんなで作り出せるように感じました。

全て、自分のポンコツを認めて受け入れることから始まりました。

そんな潜在力を直感的に感じる人が多かったから、最近作った「ポンコツは世界を救う:P理論コミュニティ」が爆発的な投稿量と「うけるね」リアクションの嵐という状態を引き起こしているのでしょう。

この「ポンコツ」というキーワードは、既存のコミュニティの垣根をも取り払ってしまう強力なキーワードでした。

経営シミュレーションゲームやエンパワーメント、八尾の製造業さんの集まりや農業の集まりなど。これまであまり交わることのなかった複数のコミュニティが、ポンコツをキーワードに交流し始めているではありませんか。

ポンコツは時代を切り開くキーワードかも知れません。ポンコツは世界を救う。私達たくらみ屋はこの経験則や論拠、学説などをまとめて「P理論」と称して、世界の平和をたくらむ仲間をおもしろまじめに作ろうとしています。

ちょっと自分のポンコツが気になり始めたら、仲間に入りませんか?(^-^)

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投稿者プロフィール

Shigeo Morimoto
Shigeo Morimoto
1966年大阪市生まれ。革新の好循環を起こす「プロの素人」。株式会社こきょう 代表取締役。「教えない」企業研修で何故か良くなってしまう。そのためにTOC(国際認定ジョナ資格)、MG(西研究所認定インストラクター)、20年のEC業界経験で築いたご縁と、大学で河合隼雄氏に学んだ臨床心理学を駆使。

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・次の一手がわからない。
・問題がたくさんありすぎて、何からやっていいかわからない。